鉄鋼業における新しいグローバルビジネスモデルの構築に向けて

2002/04/11

Photo Courtesy: Arcelor

 新日本製鐵株式会社(社長:千速 晃)とユジノール(Usinor)が、ワールドワイドな協力関係を強化することを目的に『グローバル戦略提携契約』を締結して約1年が経過しました。その間、自動車鋼板分野において世界トップクラスの技術力と供給力を有する両社が、自動車メーカーのグローバル展開に対する協力に共同で取り組むための枠組みを整備し、具体的な協力活動も開始する等、当初期待した以上の成果をあげることが出来ました。

 11日、新日鉄の千速社長とアルセロール(Arcelor)のMer会長ならびにDolle社長(CEO)はパリにおいて会談し、提携初年度の成果を相互に評価・確認するとともに、本提携を今後更に拡大・発展させ、需要家および消費者のメリットを増大させることを通して提携の効果を最大限発揮する努力を継続することを確認致しました。

 本年2月、ユジノールはアーベッド(Arbed:ルクセンブルグ)およびアセラリア(Aceralia:スペイン)と経営統合して世界最大の鉄鋼企業アルセロールを設立しました。今後は、ユジノールに代わってアルセロールが新日鉄との提携を引継ぎ推進することが確認され、これに伴って両パートナーの供給力・需要家対応力が拡大するのみならず、提携対象品種を従来の炭素鋼薄板およびステンレス製品からそれ以外へも拡大することが可能となります。

 昨年1月、両社は、契約締結後直ちに両社副社長を共同委員長とする推進委員会を設置し、その下に自動車鋼板、購買、ステンレス、ブリキ、環境の5つのアドホック委員会を設置して、各分野における具体的協力内容の検討と推進を行って参りました。


 自動車鋼板分野において、両社は、自動車メーカーの世界戦略車(ワールドカー)の開発・生産およびその他グローバル活動に対する両社の技術面での具体的協力活動の枠組みを規定する『自動車鋼板提携実施契約』を、昨年10月に締結致しました。両社は、その実施契約に基づいて
・第一に、両社がそれぞれ保有する技術ライセンスの相互供与を実施し、マーケットに提供する商品ラインナップの拡充を開始しております。
・第二に、将来の商品およびスチール・ソリューションのニーズに対応するため、両社が共同で取り組む研究開発課題を選定し、既に開発を推進中であります。
 また、両社は、自動車メーカーを訪問し、本提携の主旨をご説明すると共に、自動車メーカーの要請に基づいて個別技術課題に対する問題解決等への両社共同での取り組みを既に実施しており、それらの活動は、自動車メーカーから高い評価を得つつあります。

 尚、両社は、10日、インドのタタ製鉄(Tata Steel:TISCO)と『自動車鋼板技術協力契約』を締結し、インドにおけるTISCO社の自動車鋼板ユーザーに対する技術アプローチを共同で支援することと致しました。


 購買、ステンレス、ブリキ、環境分野においても、期待どおりの成果を上げつつあります。特に、
・ステンレス鋼板分野では、米国における自動車部品メーカーからの高加工性フェライト材の供給要請に対応するため、アルセロールの米国子会社J&Lでの製造を目指して、両社で準備中であります。
・環境分野では、地球温暖化防止のためのCO2ガス削減について更に幅広い取り組みが必要との見方で両社は合意しており、今後、他有力鉄鋼企業ならびにIISI等鉄鋼業関連団体への働きかけを共同で行っていく計画であります。


 今後、両社は、自動車鋼板分野をはじめとする既存の提携分野における協力で具体的な効果を追求すると共に、更に多方面での検討をより強力に推進することで合意致しました。具体的には、
(1)建材市場における鉄鋼製品の優位性確立および総需要拡大を目的に、条鋼類を含む建設用鋼材分野での協力検討を開始します。
(2)米国をはじめとする海外での事業協力検討を促進します。
(3)鉄鉱石および亜鉛等金属の安定的調達を目指して、原料供給ソースの多様化を推進します。

 新日鉄とアルセロールは、両社が創出した鉄鋼業におけるこの「新しいグローバルビジネスモデル」を今後更に発展させ、早急に完成させるよう努める所存であります。本ビジネスモデル構築を通して、両社は地理的に遠く離れた場所で独立した経営活動を展開しながら、上記のような両社相互に有意な分野においてはワールドワイドな協力を行うことによって、両社の需要家対応力の向上、コスト削減、技術開発力の強化等が図られ、最終的にはそれぞれの鉄鋼事業の競争力強化が実現できると確信しております。

以 上

連絡先
新日本製鐵(株)秘書部広報センター 中井 03-3275-5022


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