君津製鉄所が省エネルギー最優秀賞「経済産業大臣賞」を受賞

2002/02/05

 財団法人 省エネルギーセンター主催の平成13年度省エネルギー優秀事例全国大会において、当社君津製鉄所(所長:奥村治彦常務取締役)が発表した「製鉄余剰ダストの高炉原料としての再資源化技術開発」が、最優秀事例として「経済産業大臣賞」を受賞致しました。表彰式は1月31日の全国大会の席上で行われました。

<製鉄余剰ダストの高炉原料としての再資源化技術>
 君津製鉄所では、従来から高炉や転炉で発生していた鉄分含有ダスト(*1)を焼結原料(*2)等として再利用するなど、高炉での再資源化を図ってまいりましたが、ダスト中の亜鉛が高炉操業に支障を来たすという技術的な制約から全量再利用が出来ず、所内で年間に発生する鉄含有ダストのうち約30万トン(鉄分約15万トン、炭素分約3万トンを含有)を余剰ダストとして廃棄或いは外部に処理委託してきました。
 そこで今回、同所では、鉄含有ダストのリサイクル率向上を図るべく、ダスト中の亜鉛を除去し還元鉄ペレット(*3)に加工して高炉で再利用する技術を開発しました。
 これは「回転炉床式還元炉方式」と呼ばれる技術で、既存の脱亜鉛プロセスである回転炉床法を応用し、ダスト中の炭素分を熱源として炉内を加熱昇温させることで亜鉛をガス化・除去するとともに、鉄分を高強度の還元鉄ペレットとして再資源化するものです。
 還元鉄ペレットを高炉で使用するためには、高炉内での通気性を阻害しないようにペレットの強度を確保することが重要です。従来の知見では炭素分を含有するペレットの強度確保は困難でしたが、同所は高炉装入に耐え得る高強度を有する還元鉄ペレットの製造技術を世界で初めて確立しました。
 君津製鉄所原料工場では一昨年5月より、同技術を使ったダストリサイクル設備が稼動しております。これにより年間約18万トンの余剰ダストが再資源化され、所内で発生する鉄含有ダストのリサイクル率は従来の約75%から約90%に上昇し廃棄物削減に大きな成果を上げるとともに、炭素分、鉄分の有効利用を通じて原油換算で年間2万キロリットル相当の省エネルギーを達成しております。


 <ダストリサイクル設備主要設備仕様>
  ●回転炉床
    炉床外形24m、幅4m
  ●ダスト処理能力
    年間18万t-dry Dust
  ●原料ダスト
    高炉ダスト、転炉ダスト、焼結ダスト等
  ●処理プロセス
    ダスト塊成化⇒還元(脱亜鉛、還元鉄ペレット生成)⇒ベルトコンベアで高炉に搬送、原料として再利用


<注釈>
 (*1)鉄分含有ダスト
高炉、転炉、圧延設備等の鉄鋼製造工程で発生する排気ガス等に含まれる酸化鉄や金属鉄を含有する微粉末物質で、集塵機にて吸引・収集している。

 (*2)焼結原料
  鉄鉱石は「焼結鉱」と呼ばれる高炉に装入出来る状態にするために、「焼結機」という設備で前処理が行われるが、焼結原料とはその焼結鉱の原料を指す。
  焼結鉱は、2~3ミリ程度の粉状の鉄鉱石を石灰石等と混合し、1,300~1,400℃の高温で5~50mmの大きさに焼き固めたもの。

 (*3)還元鉄ペレット
  鉄含有ダストの主成分である酸化鉄が回転炉床内で金属鉄に還元されて生成された造粒物。焼結鉱に比べて粒度が揃っているのが特徴。


連絡先 エネルギー技術グループ 小野 03-3275-5471
     広報センター 菅家 03-3275-5021


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