トヨタ、新日鉄 画期的なハイドロフォーム成形機を共同開発

2001/12/18

 トヨタ自動車株式会社(社長 張 富士夫、以下トヨタ)と新日本製鐵株式会社(社長 千速 晃、以下新日鉄)は、画期的なハイドロフォーム※1成形機を共同開発した。

 今回、共同開発した成形機は、高張力鋼板(WEL-TEN 780)※2を使ったC型積層フレーム構造※3やセルフロック機構※4等の新開発により、従来の成形機に較べ、画期的なコンパクト化、設備費の低減、省エネルギー化を実現した。
・コンパクト化 従来機の1/10程度(容積比)
・設備費  従来機の1/2以下
・省エネルギー 従来機の1/10程度(消費エネルギー)

 ハイドロフォームは、複数部品の一体成形ができるため、金型数削減、溶接廃止等による部品の高剛性・軽量化やコストダウンが可能になるが、成形時のコントロールが複雑・高度なことから、小物部品(自転車や配管の継手部材等)への適用が中心であった。
近年、周辺技術(メカトロニクス)の発展により、大型部品の成形コントロールが可能になり、欧米を中心に、1990年頃から自動車部品の製造に急速に適用されてきた。しかしながら、巨大な油圧プレス機を必要とするため、専用高棟工場が必要であったり、高額な設備のため、部品のコストダウンメリットを充分享受できないなどの難点もある。

 トヨタは、ハイドロフォームを自動車部品の有力な加工技術のひとつとして注目してきたが、巨大な設備を要するため、トヨタ生産方式に適用させるためには、よりコンパクトな成形機開発の必要性を感じていた。また、一方、 新日鉄も鋼材の使用の可能性を広げるためには、よりコンパクトで低コストな成形機の普及が必要との認識にあった。こうした両社の思惑が一致したため、1999年より共同開発に着手し、この度、開発に成功した。なお、開発機の製作にあたっては、太平工業株式会社(社長 寺門 良二)、大豊精機株式会社(社長 菊池 硯明)の協力を得ながら進めた。

 トヨタは、今後、この成形機を導入し、燃費向上のための軽量化と安全性向上のための高剛性化を両立させた自動車部品を製造し、さらに環境に優しく安全な車づくりを目指す。また、新日鉄は、よりユーザー側の視点に立った研究開発を強化し、将来的にこの成形機を広く普及させることにより、鋼材の需要拡大に繋げたいと考えている。

※1 成形上型と下型の間にセットした素材の鋼管内に水を充填し高水圧を付加しながら鋼管を金型内に押し込むことで、金型形状に沿わせる成形法。
※2 新日鉄が開発した高張力鋼
※3 アルファベット”C”形状した鋼板を、製品長手方向に複数並べ、開口部に成形型を挿入・保持する方法。開発機では、厚さ50mmの鋼材を使用した。
※4 成形中に、成形型が高水圧で開くのを抑制するために、成形圧力を活用したコンパクトな型保持方法。従来機は大型シリンダを用いていた。

【お問い合わせ先】
トヨタ自動車株式会社広報部
(本社)  0565-23-1520~4
(東 京) 03-3817-9111~6
(名古屋)052-952-3461~3

新日本製鐵株式会社
 秘書部広報センター    03-3275-5021
 鋼管営業部特殊管グループ 03-3275-6716




このページの上部へ

ここからフッター情報です