新日鉄とTIMET社との自動車バネ向けチタン合金市場開拓協力

2001/10/16

チタンバネは鋼製バネの半分以下の重量

新日本製鐵株式会社(社長:千速 晃)とTitanium Metals Corporation(TIMET、本社:米国コロラド州デンバー、Chairman & CEO:J. Landis Martin)とは、この度、日本国向け自動車懸架バネ向けのチタン合金需要開拓及び生産について相互に協力することで合意し、具体的な検討に入るとともに日本の自動車各社やバネメーカーに対し共同での営業活動を開始いたしました。
TIMETは、その航空機向け合金開発の経験と優れた知識を活かし自動車用途として優れたバネ特性と自動車用途として受け入れ可能なコストで生産が可能なTIMETAL LCB(ローコスト・ベータ)合金を開発し、すでにフォルクスワーゲン社が実車へ採用しております。今回、両社は、そのTIMETAL LCB合金を、新日鉄を通じて日本の自動車産業市場向けに提供することで基本的合意に達し提携契約の検討に入りました。
金属チタンは、その優れた特性から航空機を始め、化学プラント・機器、電力プラント等の各需要分野で市場を拡大していますが、自動車向けにおいても、その軽量で高強度という優れた特性を活かし一部のレース用車種や高級スポーツ車の部品として使用されてきました。最近では二輪車の排気系部品として使用が急速に拡大してきており、平成9年の年間20トン程度の使用水準から、平成14年には600トンを越えるものと予測しております。
TIMETAL LCB合金バネの特徴は以下の通りであります。
 1)現行の合金鋼に匹敵する高強度を有する金属
・ 大幅な設計変更が不要である
・ 現状の鋼製バネ製造設備がそのまま活用できる
2) 弾性係数の低さからバネ高さ(線長さ)を鋼製の50~80%に低減可
・ 低比重(鋼の60%)とあいまって 70%もの重量低減が可能
3) 優れた耐食性を有する
・ 鋼製バネでは不可欠な保護コーティングが不要
特に 高さの低減は、オートバイでは空気力学的効率の向上を実現し、乗用車及びトラックでは、車室と積載空間の設計に自由度が拡大し、そのほかの補助部品の小型化によっていっそうの重量軽減をもたらし、燃費向上に大きく寄与できるものと考えております。
両社は、この分野の大きな潜在需要に着目し、それぞれの経験・実績・能力を統合し、日本国内での市場拡大に向け相互に協力することで一致いたしました。今後、TIMETはTIMETAL LCBのバネ用製品もしくは中間素材を新日鉄に提供し、新日鉄はそれを自社で加工し、自社の営業を通じて自動車メーカーやバネメーカー、部品メーカーに販売していくことになります。その結果、TIMETはその優れた合金を非航空機用途分野にも供給を拡大し、バネ用合金鋼に大きなシェアを持つ新日鉄は新しい素材であるTIMETAL LCB合金を新たに営業項目に加えることとなります。
両社は、この提携が大きな潜在需要を持つ一般乗用車分野でのチタンの適用となるため、これまでの日本国内の航空機向け合金の供給や建築用チタン材の海外市場への提供等の両社の協力関係がさらに本格的な段階へと発展・拡大していくものと期待しております。

連絡先  チタン事業部 山下 03-3275-7967
広報センター 菅家 03-3275-5021

以上


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