米国からの冷延鋼板アンチダンピング提訴について(鉄連会長コメント)

2001/10/01

平成13年10月1日
日本鉄鋼連盟会長
日本鉄鋼輸出組合理事長
千速 晃

米国からの冷延鋼板ダンピング提訴について

今般の日本製冷延鋼板に対する反ダンピング提訴は、不当であり、極めて遺憾である。

日本からの米国向け冷延鋼板は、伝統的需要家に長年にわたり継続供給している特殊製品が中心で、その数量も限定的であり、米国鉄鋼業界に被害を及ぼすようなものでははない。
このことは、92年及び99年の反ダンピング調査でいずれも「被害なし(シロ)」の判断が下されたことからも、明らかである。99年のAD提訴以降、日本製冷延鋼板の輸入数量は激減
しており(98年67万トン、99年44万トン、2000年27万トン)、日本製鋼材が米国鉄鋼業界に被害を及ぼしていないことは明白である。

また、米国では、冷延鋼板の全輸入数量が98年以降減少しているにも関わらず(98年416万トン、99年349万トン、2000年293万トン)、現在、冷延鋼板を含む鉄鋼製品全般につき、セーフガ
ード措置発動に向けた調査が行われている。この調査に於いて輸出国側が提出した意見書で分析され明らかにされているとおり、米国鉄鋼業の経営悪化の要因は、輸入鋼材ではなく、
国内需要の増加を上回る米国ミルによる設備拡張、高炉ミル間の価格競争と高炉ミル・ミニミル間の競合、自動車等の需要減退にある。このような状況下で、さらなる国内産業保護
を求め、20ヶ国(全冷延鋼板輸入の約8割)もの国を対象とする今回の反ダンピング提訴は、まさしく通商法の濫用と言わざるを得ない。

先般公表されたWTO(世界貿易機関)の審査報告書は、米国が鉄鋼製品の輸入を巡って反ダンピング措置やセーフガード措置など国内保護政策を乱発していることに強い懸念を表明して
おり、かつ、OECDのハイレベル会合では、世界各国が鉄鋼貿易の正常化に取り組んでいる最中である。このような中で、米国が今回の冷延鋼板に対する反ダンピング提訴を行ったこと
は理解しがたい。

米国当局がこのような通商法の濫用に対し、断固たる対応をとることを強く希望する。

以上


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