米国USTRによるITCへの鉄鋼製品輸入に関する通商法201条調査開始要請について

2001/06/25

日本鉄鋼連盟 会長
日本鉄鋼輸出組合 理事長
  千速 晃

今月5日に発表された米国ブッシュ大統領の鉄鋼政策に関する声明を受け、6月22日(米国現地時間)、USTR(米通商代表部)がITC(米国国際貿易委員会)に対し鉄鋼製品輸入に関する通商法201条調査の開始要請を行った。

同要請では、既に通商法201条措置の対象となっている線材・溶接鋼管等一部の製品を除く殆ど全ての鉄鋼製品が含まれるほか、半製品についても調査開始が求められている。再三申し述べているように、日本を含む各国からの米国の鉄鋼輸入数量は1998年をピーク(4150万トン)として大幅に減少(2001年1-4月936万トン、年率換算約2800万トン)しており、このように広範な輸入鋼材に対する調査開始要請は、自由貿易の原則から逸脱する不適切なものと言わざるを得ない。

とくに、冷延鋼板に関しては、昨年3月に、日本を含む6ヶ国からの輸入に関するアンチダンピング調査において、ITCが輸入鋼材は国内産業に被害を及ぼしていないとしてシロの決定を下し、昨年11月にも、韓国・ドイツ・オランダ3ヶ国からの輸入に関するダンピング課税のサンセット見直しにおいて、シロの決定を下したばかりである。にもかかわらず、今回、USTRが調査要請品種に冷延鋼板を加えたことは、不当であり誠に遺憾と言わざるを得ない。
また、半製品についても、その殆どは米国鉄鋼業自身が購入しているのが実態であり、これが要請の対象に含まれたことも理解に苦しむ所である。

更に、今回の要請では、メキシコ・カナダが調査に基づく輸入制限措置の対象から除外される可能性が示唆されているが、仮にそのようなこととなれば、WTOの無差別原則及びセーフガード・ルールに違反する。米国政府がWTOルールを遵守することを強く望むものである。

日本鉄鋼業としては、従来より対米鋼材輸出は伝統的顧客を中心として継続的に行っているものであり、本調査によりこれらの米国内需要家に多大な迷惑がかかることを危惧するものである。今後は、ITCの調査において、輸入鋼材が米国鉄鋼業に被害を与えていないことを主張していくことは勿論、日本政府からも米国政府に対し、日米二国間協議やOECD鉄鋼委員会等のあらゆる機会において、我々の主張を強く申し入れて頂くよう要請していきたい。

以 上


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