超高力ボルト「SHTB」 USJに隣接する高層ホテルに大量採用

2001/06/25

 新日本製鐵株式会社(社長:千速晃)および日鐵ボルテン株式会社(社長:吉田紘一)が共同開発した超高力ボルト「SHTB」(平成12年5月15日発表)が、ユニバーサル スタジオ ジャパン(USJ)に隣接する地上33階建ての「ホテル日航ベイサイド大阪」(施主:綜合商事株式会社、設計:株式会社村井敬合同設計、設計協力:株式会社大林組)に採用されました。「SHTB」が高さ100mを超える高層物件に採用されたのは初めてで、約46,000本(約29トン)の大量採用です。

 「SHTB」は、耐遅れ破壊特性に優れた素材開発と、応力集中を緩和できるボルト形状・新ねじ形状の採用により、遅れ破壊(*1)を克服した画期的なボルトで、従来の高力ボルト(F10T)の約1.5倍の超高耐力を有しております。 そのため、「SHTB」採用により、ボルト接合部を従来の約2/3のサイズにコンパクト化することが可能で、ボルト締め付け費の低減、工期短縮等多くのメリットがあります。 「SHTB」の優れた遅れ破壊特性は、促進暴露試験や全国数カ所において数年にわたり実施した屋外暴露試験により確認されており、平成11年11月付けで、建設大臣(現国土交通大臣)の一般認定を取得しております。
 「SHTB」は、本物件に続き、中層の共同住宅(鉄骨鉄筋コンクリート造)に採用されており、また、都内で再開発中の高層建物を中心に採用予定案件も多数あるなど、極めて順調な滑り出しを見せています。
 「SHTB」の優位性に対する関係業界の認識は日増しに高まっており、新日鉄、日鐵ボルテン株式會社とも、今後の拡販に極めて意欲的に取り組んでおります。
 あわせて、今回の建築物には新日鉄の新製品として売出し中の、表面に特殊加工を施した高強度のスプライスプレート「ハイパースプライス(*2)」を用いた「ハイパージョイントシステム」も大量に採用され、ボルト接合部のコンパクト化および工期短縮など需要家ニーズに応えております。

(*1)遅れ破壊:高強度の鋼材が静的な荷重下で、ある時間経過した後に突然脆性的な破壊を起こす現象です。高力ボルトの遅れ破壊プロセスは、腐食などによりボルト中に進入した水素がねじ部など応力集中部に集積し、そこで発生した亀裂が成長して破壊に至るものです。
(*2)「ハイパースプライス」:特殊鋼板の表面に特殊加工を施すことで摩擦耐力を大幅に向上したスプライスプレートです。従来の約2倍の摩擦耐力を確保できることから、ボルト接合部を約1/2にコンパクト化することができます。また、SHTBと組み合わせることにより更なるコンパクト化(従来の約1/3)が図れます。


「ホテル日航ベイサイド大阪」の概要
  建築主:綜合商事株式会社
  設計者:株式会社 村井敬合同設計(設計協力:株式会社 大林組)
  施工者:ホテル日航ベイサイド大阪建設工事共同企業体(大林・大成・鹿島・ハザマ・大鉄工業JV)
  建設地:大阪府大阪市此花区島屋6丁目
  規模:地上33階、塔屋2階、延べ床面積47,538.62m2
  主要用途:ホテル、駐車場


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