新日鐵、水域浄化事業に本格参入

2001/06/20

 新日本製鐵株式会社(社長 千速 晃)は、この度カーボンファイバー(炭素繊維 以下CF)を用いた水域に関する技術について、協同組合ぐんま環境技術コンソーシアム(*1)(代表理事 平野徳彦)と特許実施許諾契約を結び、水域浄化事業へ本格参入いたしました。
 当社はこれまで、ひも状接触材・ボール状担体・浮上濾材(*2)等の技術を用い、河川・湖沼浄化事業を手がけてまいりましたが、今後はCFによる浄化を商品メニューに加え、一層のマーケット拡大をはかります。現状、当社の水域浄化事業は、年間数億円規模の売り上げですが、3年後をめどに、この分野での売り上げ10億円を目指します。

 CFによる水域浄化の技術開発は、CFの極めて生物親和性に優れているという特質の発見に始まり、平成9~11年の通産省・NEDOの「地域コンソーシアム研究開発事業」への採択を機に、協同組合ぐんま環境技術コンソーシアムが実用化促進を進めてきました。
この基本技術に、当社がこれまで蓄積してきた河川・湖沼浄化に関するスケールアップ技術や運転・メンテナンス等の技術を組合わせ市場展開をはかっていきます。

<技術の内容>
 CFの集合体を微生物の「棲み家」(微生物担体)として利用する水域浄化技術で、水中の枠体又は浮体に吊下げ固定し、CFに付着した微生物の働きによって水質浄化するものです。CFは生物親和性が非常に高くCF重量の100~1000倍程度の活性汚泥を固着させることが可能です。

<特徴>(従来技術に比べて優位な点)
(1)浮遊SSの急速捕捉(活性汚泥の早期大量固着)
(2)嵩高ネット形状を保持できるので、内部物質交代が容易(ネットポンプ作用)
(3)固着汚泥の活性が長期間持続し、汚泥の剥落がおきにくい
(4)高弾性率のため目詰まりがおきにくい
(5)直径7μmの極細ストランドの集合体なので、表面積を大きくとれ高密度充填が可能
(6)安定物質のため紫外線に強く、内分泌かく乱物質とは関係なく安全無害
 尚、CFの池水浄化装置の代表事例としては、群馬県高崎市・(財)高崎八幡霊園公園池での実証装置の連続運転があります。
 この事例では、「アオコ」をあらわす指標クロロフィルaが、運転前の310μg/Lから運転開始後の7μg/Lに低減し、夏期にもこの数値を維持、特に透視度では9.8Cmが100Cm以上と大幅な改善を達成しました。

* 1
協同組合 ぐんま環境技術コンソーシアム 
     住所   群馬県前橋市川曲町111-1
          TEL  027-255-5011
     主な構成メンバー : エコトライ(株)、(株)群馬分析センター
(株)ガイア、ヤハギ緑化(株)
 *2
ひも状接触材 : プラスチック糸を立体紐状(直径25mm)に加工した微生物担体
ボール状単体 : プラスチックを立体ボール状(径200mm)に成形加工した微生物担体
浮上濾材 : 発泡プラスチック(径3~20mm)濾材

 CFは、世界の生産能力の約76%を日本メーカーが占める国際的に非常に評価の高い先端技術であり、当社/新素材事業の一分野として当社Gr会社が製造・販売いたしております。従来、主に下記用途で用いられてきました。
1.宇宙・航空産業分野
2.民生用品分野(ゴルフクラブ、テニスラケット、つり竿等)
3.一般産業分野(ロール等)
4.土木建設分野(ビル・橋脚等の倒壊・座屈防止補強工法、トンネル内壁補強工法等)
今回の事業展開により新たな用途開発にはずみがつくと期待されます。

お問い合わせ先:新日鉄エンジニアリング(株)広報室 TEL 03-3275-6030
            


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