世界初 高炉プロセス制御システムにLinux(リナックス)搭載パソコンを適用

2001/05/21

新日本製鐵株式会社(社長:千速 晃)は、高炉のプロセス制御用として世界で初めて、オープンなOS(基本ソフト)であるLinux(リナックス)を搭載したパソコンシステムを稼動させました。
本システムは、5月19日に火入れした君津製鐵所 第3高炉のプロセスコンピュータ(プロコン)として稼働しております。
新日鉄では、既に業界に先駆けてWindowsNT(ウィンドウズNT)パソコンをプロコン分野に適用拡大してきておりますが、Linuxの適用は初めてです。
 
【信頼性と応答性の実現】
24時間・365日連続稼働の基幹設備である高炉のプロセスコンピューターには、エラー・トラブル等が許されず、厳しい信頼性が求められます。また、リアルタイム制御のため、事務処理用コンピューターにはない高い応答性(リアルタイム性)が求められます。
このようなプロセスコンピューターの信頼性・応答性をWindowsやUNIX(ユニックス)、Linux等の汎用OS上で実現するためには、OS上に「制御用ミドルウェア」というソフトを構築する必要があります。新日鉄は、製鉄設備にWindowsNTパソコンやUNIXマシンを適用する際、独自開発のミドルウェア NS SemiSystem(登録商標)を製作した経験があり、これを今回Linux版ミドルウェアの開発に活用しました。
また、新日鉄では、プロトタイプ(試作)システムを構築し、約1年もの長期間にわたり信頼性・応答性(処理性能)の評価を行い、高炉への適用を実現しました。

【Linuxプロコンのメリット】
 Linuxはソースが公開された無料のOSで、1991年の登場以来、WindowsやUNIXに対抗するOSに急成長してきました。高炉プロコンへのLinux適用で、以下のメリットが期待できます。
 (1)Linuxは、ソースの公開により高い透明性を持つ(他のソフトがブラックボックスとされるのに対し、ホワイトボックスと呼ばれる)ためユーザーによるメンテナンスが可能です。従って、高炉を15年~20年にわたり使用する場合にも長期的な信頼性・メンテナンス性の高いシステムです。
 (2)Linuxは、UNIXのようにワークステーションベースでなくパソコンでの使用が可能であるため、高炉はもとよりその他プロセスへの適用拡大によりハードコストの大幅削減が可能です。

【君津第3高炉プロコンに関するシステム開発】
(1) データ管理システム
データ管理システムには、アプリケーションソフト開発効率やシステム運用効率を重視し、オラクル社製の汎用データベース管理システム(RDB)を全面採用しましたが、これも大規模鉄鋼プロセス制御用では初めてです。汎用RDBのオンライン制御への適用に際しても、プロコン同様応答性(リアルタイム性)の確保が最も重要な課題のひとつでしたが、ミドルウェアの開発やソフト構造の最適化でこれを実現しました。

(2) アプリケーションソフト開発
Linux上で使用するアプリケーションソフトの製作にあたって、高効率ソフト開発ツールを新規開発し、従来の1.5~2倍のソフト開発生産性を達成しました。

<連絡先> 設備技術開発センター システム制御技術部 末廣(0439-80-2961)・下井(0439-80-2462)
広報センター菅家(03-3275-5021)


このページの上部へ

ここからフッター情報です