平成12年度省エネ大賞「高効率家庭用ガス給湯暖房熱源機」に新日鉄製チタンフレキ管が採用される
2001/03/22
平成13年3月22日 新日本製鐵株式會社 |
平成12年度省エネ大賞「高効率家庭用ガス給湯暖房熱源機」に 新日鉄製チタンフレキ管が採用される |
財団法人 省エネルギーセンター主催の省エネ大賞(21世紀型省エネルギー機器・システム表彰)では、最も優れた省エネルギー・省資源性を有した民生用エネルギー利用機器への最高評価として「経済産業大臣賞」が与えられますが、平成12年度の同賞を「高効率家庭用ガス給湯暖房熱源機」で受賞した大阪ガス株式会社(大阪市 社長:野村 明雄)の「エックスプリオール・エコ」および高木産業株式会社(静岡県富士市 社長:高木 義和)の「エコテックQ」に、チタンフレキ(蛇腹)管が使用されました。 このチタンフレキ管は新日本製鐵株式会社(社長:千速 晃)で開発・製造したチタン溶接管を株式会社ティグ(東大阪市 社長:小澤 隆治)にてフレキ加工したもので、器具内の熱交換器通水素材に使われております。 <高効率家庭用ガス給湯暖房機のしくみと、チタン管の採用> 今回両機器の省エネ大賞受賞理由は、従来約80%であった給湯暖房機の熱効率を大幅に改善(給湯熱効率93%、暖房低温熱効率88%)させ、従来に比し12%のガス消費量削減効果をもたらしたことによります。従来機種にない二次熱交換器を搭載し、排気ガスを約200℃から80℃に下げる際の熱エネルギーの回収(顕熱回収)と、排気ガス中に含まれる水蒸気を水に戻す際の熱エネルギーの回収(潜熱回収)により熱効率アップが実現しました。経済的にはガス消費(ガス代)の節約効果、環境面ではCO2削減に貢献します。 二次熱交換のためには、通水管に効率的な熱交換が求められ、管が薄肉であること、蛇腹形状であることが望まれました。ところが、排気ガスは窒素酸化物等の濃度が高く潜熱回収の際に発生する凝縮水は腐食性が高い上、管の腐食により通水が漏れた場合に事故の危険があります。耐食性に優れた通水素材の選定が課題となった結果、チタンが選択されました。チタンは卓越した耐食性を有し、従来より熱交換器を主としたプラント設備や東京湾岸道路橋脚の防食材等に採用されております。さらにチタン独自の表面意匠性と、軽量(比重はステンレス鋼の約60%)という特長もあり、昭和館(千代田区)や大分スタジアム等の外装材にも使用されてきました。 今回の熱交換機への適用上、チタン管は防食要求を満たす上、軽量のため二次熱交換器搭載による機器の重量増をミニマム化し、施工性も確保します。 <チタンフレキ管に関する新規開発> ティグは、独自のチタンフレキ管の製造技術を活かし、塩水生け簀や食品加工冷却用途等の小型熱交換器を製造・普及させてきましたが、ガス器具熱交換器へも、この蓄積技術を応用し、チタンフレキ管を製造しました。 今回の場合、上記熱交換性能向上と軽量化のため、肉厚0.3mmの薄肉管が必要となりましたが、従来、通常のチタン製熱交換器の管肉厚は0.5~0.7mmで、0.3mmは殆ど実例がありませんでした。さらに、伝熱性能向上のため管に凹凸を付けるフレキ加工を施すにあたり、通常のチタン管では耐えきれず割れが発生していました。そこで、当社はティグと協力し、管素材の加工性向上のため特殊成分の設計、及び圧延・焼鈍条件の最適化等により、素材の軟質化・加工性向上を図りました。次に、フレキ加工時の溶接部割れ回避のために、加工時に溶接部も含めて均一な変形となるよう溶接部形状を滑らかにすることが重要でしたが、造管時のアルゴンガス圧力コントロールと、引っ張り力を加えながら成形を行うことで、滑らかなビード形状の安定化を確立することができました。 加えて、溶融金属部の溶接雰囲気ガスによる汚染等の回避のため、雰囲気制御にも配慮しました。これらの技術開発の結果、肉厚0.3mmという過去に殆ど実例のない薄肉かつ高加工の可能なチタン管を製造することができたものです。また、これらの製造技術開発に加えて当社は、ガス器具内環境における腐食健全性の検証、配管強度検証等も実施しております。 <チタン素材の可能性> 卓越した耐食性を有し、かつ軽量であるチタンの国内市場は、化学関連設備や建築外装材等を中心に成長を続け、最近では携帯用パソコンの外装ケースや大型二輪車のマフラー等新規用途を拡大してきました。今回、ガス器具の燃焼排気関連部材という新規用途が加わり、さらに、当該技術を生かしたチタン管は、家庭用給湯器以外の分野においても、廃熱回収による省エネルギーを可能とし、今後の適用拡大が期待できることとなりました。 <チタンフレキ管写真> 以上 |
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