2019年 年頭にあたって (社員向けトップメッセージ:代表取締役社長 進藤 孝生)

2019/01/04

新日鐵住金株式会社

2019年 年頭にあたって
(社員向けトップメッセージ:代表取締役社長 進藤 孝生)

 平成として迎える最後の新年となりました。平成の30年間、日本の社会・産業は大きく変化し、それに合わせ当社も事業構造の変革に努めてきました。鉄冷えと言われた時代には厳しい合理化に耐え、その後のグローバル化・業界再編の時代を経て、総合力世界No.1たる鉄鋼のグローバルプレーヤーに向けた進化の努力を続けてきました。今後も当社は、様々な経営環境の変化を機敏かつ的確に捉えて、時代にあった成長戦略を常に模索し、自らの変革に努めていかねばなりません。

 さて、本年2019年も世界経済は回復基調を継続すると見込まれます。しかし、下振れリスクに対し十分な注意が必要です。堅調に推移してきた世界の鉄鋼マーケットは、昨年の暮れから一部で変調の兆しも見え始め、今後はいよいよ厳しい事業環境を迎えることも想定しておかなければなりません。生き残りをかけた熾烈な競争を勝ち抜いていくため、気を引き締めなおし、この新年、良いスタートを切りたいと思います。本年の重点課題とその対応の方向性について、3点に絞ってお話しします。

 1点目の重点課題は、収益基盤の立て直しです。
 当社製鉄事業は、好調な事業環境にも関わらず期待する収益力を発揮できておらず、収益基盤は極めて脆弱と言わざるを得ません。この危機感を共有し、安全最優先の下で、つくる力と売る力を再構築し、収益基盤の立て直しを図りたいと思います。その実現に向けて4つのポイントを申し上げます。
 まず安全です。2018年は、「浸透と定着に向けた安全3か年計画」に基づいた活動が成果を上げているとは認識しています。2019年はこの3か年計画に補強を加えて、機械化、そして作業レス化の観点から本質安全化を加速させ、安全な職場づくりに向けて一層強力に取り組みます。
 2つ目は、安定生産の実現です。近年、従来経験することのなかった設備故障や操業トラブルも増加しています。過去のトラブル対策の横展開を徹底するとともに、設備点検の網羅性向上による予防保全レベルの向上を図るなど、ハード・ソフト両面から対策を実行していきます。
 3つ目は付加価値を最大化する営業活動です。事業環境が厳しくなる時こそ、真の営業力を発揮する時です。お客様や社会のニーズを捉え、当社が有する技術力や商品力を活かして、製販の密な連携の下で、付加価値の最大化を目指した営業活動を展開して頂きたい。また、物流費や諸資機材の高騰、品種高度化に伴う製造ラインの負荷増が続く中で、適正なマージンを確保すべく、引き続きお客様と丁寧な対話を行い、理解の形成に尽力して頂きたい。
 4つ目は海外事業の強靭化です。国内事業と並び車の両輪である海外事業については、拡販や生産安定化・構造対策の推進等の改善努力によって収益が拡大傾向にあることを嬉しく思います。将来のマーケット変動にも耐え得るよう、経営体質の一層の強靭化を進めて頂きたい。

 重点課題の2点目は、中期経営計画で掲げた一つひとつの施策をやり抜くことです。
基幹設備のリフレッシュも含め、競争力の根幹となる「設備と人の再構築」には、今後も引き続き計画的に取り組みます。特にこの1年前後で稼働を予定している和歌山製鉄所の新2高炉や八幡製鉄所の新連続鋳造設備等の最適生産体制構築のための施策は、万全の体制の下で立ち上げ、投資効果を早期に発揮して頂きたい。
 また、本年は、昨年来進めてきた会社や事業の統合・再編が立ち上げの段階を迎え、その成果を結実させるフェーズとなります。
 日新製鋼の完全子会社化が完了し、4月にはステンレス薄板およびステンレス鋼管の事業再編とともに日鉄日新製鋼(株)への社名変更を予定しています。また、特殊鋼事業に関しては、昨年当社が子会社としたスウェーデン特殊鋼大手のOvakoを山陽特殊製鋼の傘下に位置づけ、これとともに山陽特殊製鋼を当社の子会社とする手続きも進めています。加えて、化学・新素材分野においても、昨年10月に日鉄ケミカル&マテリアル(株)を発足させました。これらの統合・再編は、それぞれの事業基盤をより強固なものとする取り組みです。
 そして、公称能力年間1000万㌧を誇るインドエッサールスチールの買収手続きも、現在実現に向けて順調に進行中です。買収実現後には、これまでに集積した海外事業運営のノウハウを総動員し、早期に軌道に乗せられるよう注力していきます。
 「つくる力を鍛え、メガトレンドを捉え、鉄を極める」 当社は、今後も不断に競合他社の生産性を凌駕しうる最適生産構造を模索し、競争力を磨き続けます。同時に、社会の様々なニーズに対して、最適解を提供するために、中長期を見据えた技術開発に継続的に取り組み、鉄の可能性を極限まで追求していきます。

 重点課題の3点目は、業務改革、標準化、そして働き方改革の推進です。
 事業環境が激しく変化し、取り組むべき課題も複雑化・高度化する中で、決めた施策を徹底的に実行していくためには、業務改革と標準化がカギとなります。働き方改革もこれらの活動と表裏一体です。
 全社で仕事の仕方を統一し、システム等の共通業務基盤を整備し、ここに高度IT等のツールも導入することで、業務の効率化を進め、捻出した時間を付加価値の創造に振り向けられるようにします。仕事の仕方を標準化し、改善を加え、一段高いレベルでまた標準化する「SDCA(Standardize:標準化、Do:実行、Check:評価、Action改善)」のサイクルを回し、業務レベルのスパイラルアップにつなげて頂きたい。これらの仕事に、心身ともに健康で活力をもって効率的に取り組めるようにすることが、各人の能力の最大発揮につながり、ひいては変化の激しい時代においても揺るぎない会社の競争力を生み出す力となります。

 本年4月、当社は商号を「日本製鉄株式会社」へと変更します。当社が日本発祥の製鉄会社として、未来に向かい世界で成長していく上で、多様なDNAを受け入れられる包摂的でわかりやすい商号が、当社の事業戦略の実行を後押しすることになります。「NIPPON STEEL」というグループのブランドマークの旗印の下で、日本製鉄グループの力を結集し、その発展を実現していきたいと思います。
 新たな元号を迎えるこの歴史的な年に、「日本」の名を冠し、新たに船出できることを大変嬉しく思います。これまでに進めてきた施策を徹底的にやり抜き、総合力世界No.1の鉄鋼メーカーとして、その名に恥じぬよう、誇りをもって働ける企業としていきたいと思います。
 

以 上




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