2018年度入社式 社長メッセージ (代表取締役社長 進藤 孝生)

2018/04/02

新日鐵住金株式会社

2018年度入社式 社長メッセージ
(代表取締役社長 進藤 孝生)


 皆さん、ご安全に! 
 これは当社において全社で共通する挨拶です。是非大きな声で堂々と挨拶するようにしてください。
 さて、改めまして、新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。会社を代表して皆さんを心から歓迎します。これから皆さんと一緒に仕事ができることを本当に嬉しく思います。

 皆さんは本日より、新日鐵住金の一員として「“鉄鋼”という窓」を通して世の中を見つめ、実社会の諸課題に対峙していくことになります。新日鐵住金は、我が国鉄鋼業の発展を担い、そして日本経済の成長の礎となってきた会社です。その足跡は今や日本に止まらず、世界に広がっています。我々は、先輩方が築き上げてきた歴史や企業文化を受け継ぎ、それらに新たな価値を加えて、後世に引き継いでいかねばなりません。皆さんは今後その大事な役割の一翼を担う人材として当社に迎えられたわけです。

 さて、世界の政治・経済は今、歴史的に大きな変化のさなかにあります。これまでの金融を中心としたグローバリズムや自由貿易の流れに対して、世界各国では保護主義化や自国産化を目指す動きが鮮明となっております。また、高度ITの急速な進歩やEVなど新エネルギー車への転換、自動運転技術の進化などにより、産業構造が大きく変化しようとしています。一方、地球温暖化問題等、持続可能な社会の実現に対する社会からの期待は益々高まっています。皆さんはこのようなメガトレンドの中で、社会人としての第一歩を踏み出すわけです。
 鉄鋼業界においても、鋼材需要は中長期的に着実に伸びていくと想定されていますが、当社を取り巻く環境は楽観できるものではありません。競合他社の競争力向上や、需要家業界におけるプレーヤーの変化等、ビジネスモデル自体が速いスピードで大きな変化を迎えようとしています。

 こうした大きな事業環境の変化の中、当社は「常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献する」という企業理念を基盤とし、その時々の環境変化に対応する事業戦略を構築し、これを正々堂々と遂行していきます。
 本日は、当社が新たな中期経営計画のスタートを切る日でもあります。計画の概要について簡単にお話しをしたいと思います。今回の計画の肝は、「つくる力を鍛え、メガトレンドに対応し、鉄を極める」です。
 まず当社の「つくる力」を徹底的に鍛えなおし、安全操業と安定生産を確立します。事業基盤である「設備」と「人」に経営資源をしっかりと投入する等、息の長い取り組みを継続していきます。その一方で、事業をとりまく「メガトレンド」を捉えて、高度ITの製造現場への実装や、マルチマテリアルへの対応等、10年、20年先をも見据えた事業戦略を構築し、足下から着実に実行していきます。こうした環境変化へ的確に対応していき、鉄という優れた素材の機能を最大限に引き出していきます。鉄は豊富な資源、多様な特性、優れた環境性能など、他の素材に比べて大きな優位性を有しています。あらゆる産業・インフラ構築のために必要不可欠な基礎素材であり、今後も素材の主役であり続けるものと確信しています。当社は「鉄を極める」ことで最先端の技術を磨き続けるとともに、「総合力世界No.1 の鉄鋼メーカー」に向け進化を続けます。
 皆さんも今後様々な業務に携わることになると思いますが、その一つひとつがこれに資する重要な役割を果たすものです。是非自分の位置づけ・役割を認識して業務に取り組んで頂きたいと思います。

 さて、これから新日鉄住金の一員となる皆さんへのお願いについてお話しします。
当社のものづくりの価値観は、第一に「安全・環境・防災」、第二に「品質」、第三に「生産」、そして「コスト、収益」の優先順位です。当社にとって全てに優先する最も大切な価値は「安全」です。とりわけ製造現場に直結する職場では、安全に仕事ができる職場づくりにハード・ソフト両面から取り組んでいますが、欠かすことのできないもう一つの要素が、一人ひとりの「規律ある行動」・「ルールの遵守」です。まずは皆さん自身がこのことをしっかりと心に刻んで下さい。

 その上で、特に新入社員の皆さんにお願いしたいことを3点お話しします。これは私が毎年新入社員に話をしていることです。

 1点目は、「『なぜこの会社を選んだのか』を各自、今一度再確認して頂きたい」ということです。経営学の教科書は「企業経営とは事業環境変化への対応である」と教えています。正にその通りであります。10年、20年の単位で事業環境は必ず変わります。事業環境が変われば企業の経営戦略も変えていかなければなりません。これからの長い会社生活において、皆さんにもそういう判断をすべき時が必ず来ます。経営とはそういうものだからです。その時に問われるのが「わが社は何のために存在するのか?」という根源的な問いです。その際、思考の軸として甦ってくるのが、「なぜ自分はこの会社を選んだのか」という、今、この時点の皆さん一人ひとりの決意です。この決意を各自再確認して、忘れぬよう心に刻んで頂きたいと思います。

 2点目は、「具体的な仕事を通して業務知識・専門知識の習得をして頂きたい」ということです。仕事をしていく上では、まず業務が発生する現場に足を運び素直に事実を見ることが必要です。現場の事象に精通した上で、諸先輩に教えを請い、会社の教育プログラムを受け、そして自分で考え、また、文献を読み、業務知識・専門知識を身に付けてほしいと思います。また、グローバルに広がる当社のビジネスにおいて、色々な国の人達と仕事をする場面もあると思いますが、相手の思考の背景に横たわる異なる文化・価値観を理解するように努めてほしいと思います。
 その上で、また、そのためにも、皆さん共通に身に付けて頂きたい基本的な能力が「語学力」と、「プレゼンテーション能力」すなわち、分かり易い論理を組み立てて、相手に伝える能力です。いずれもまずは「相手が聞きたいと思う、意味のある内容」を自分が持っていることが前提ですが、仕事を前に進めていく上で、コミュニケーションツールとしての言語能力とプレゼンテーション能力は大切です。

 3点目は、「会社生活を通じて人間的成長を遂げて頂きたい」ということです。私がこの会社を選んだのは、「鉄という産業の基礎資材を安価に供給して日本経済の役に立ちたい。」ということでした。しかし、もう一つの理由は企業文化に属するものであったと思います。議論を尊び、正論なら上司・部下の隔てなく自由に議論のできる「議論に上下なし」という気風、個別企業益もさることながら常に日本経済全体を考える伝統、そしてそれらを体現する先輩たちの人物の大きさでした。
 この新日鐵住金という人間集団は、皆さんがこの中で人生を送り、人間的に成長する場として決して不足のある場ではありません。どうか当社の多様な人材に接し、又、「鉄鋼」という窓から世の中を洞察する目を養って頂き、一回りも二回りも大きな人間に成長して頂きたいと思います。

 以上申し上げた3点は、企業人としての基本的な能力につながります。それは「価値観を研ぎ澄ますこと」、「知識を身につけること」、そして「人格を磨くこと」です。価値観・知識・人格、これらは掛け算で効いてきます。どれかがゼロならば積もゼロです。いずれも欠かすことなくバランスよく研鑽し、逞しい人材に成長して頂きたいと思います。

 これからの長い会社生活、曇る日も照る日もあります。又、穏やかな凪(なぎ)の日もあれば、激しい嵐の日もあろうかと思います。心身の健康を第一に、上司・先輩の話をよく聞き、同僚と語らいながら、「焦らず、慌てず、しかし、侮らず」、まずは着実に仕事の基礎を身につけて頂き、そして、将来大きな仕事をしていただくこと、これを心から期待して、皆さんへの私からのエールと致します。

動画はこちらをご覧ください。

以 上




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