社長就任にあたって

2014/04/01

新日鐵住金株式会社
代表取締役社長 進藤 孝生

社長就任にあたって

  新日鉄住金株式会社は、2012年10月1日、旧新日本製鐵・旧住友金属工業の統合によって、誕生致しました。当社は、経営統合時に掲げた、「総合力世界№1の鉄鋼メーカー」という目標に向かって、順調に歩みを進めており、この1年半、極めて良好なスタートを切ることが出来たと認識しております。私は、当社の経営課題を着実に達成することにより、世界中のどの鉄鋼メーカーの追随も許さない「競争優位性」を確立し、企業価値向上に取り組みたいと思います。

 そのために、私たちがなすべきことは、一つめは「国内事業における収益拡大と事業基盤の絶えざる強化」、二つめはそのことを前提とした「海外事業における収益拡大」だと考えます。これら二つの両立を目指すことであります。これは真のグローバル企業になるために欠かすことの出来ない、いわば「車の両輪」です。
 
  まずはじめに「国内事業での収益拡大と事業基盤の絶えざる強化」とは、国内製造拠点の競争力を絶えず再構築・強化すると共に、技術先進性を追求・発揮する企業でありたい、ということです。

 国内の各製造ラインは、グローバル供給体制におけるマザー工場として、高い品質と生産性の追求、先進技術の開発・実用化等を行い、圧倒的な製造実力を有する必要があります。国内製造ラインがマザー工場足りえるのは、当社の競争力の源泉であり、製造実力の根幹をなす「お客様対応力」と「現場力」を有しているからであります。

 日本国内には、厳しいグローバル競争にさらされながら、それに打ち勝つだけの力を有する各業界のお客様がおられます。お客様の製品価値や生産性向上に資する提案力を強化していくことで、当社自身も、品質・生産性を含めた製造技術等、様々な面で鍛えられ、世界に通用する競争力を身に付けることが出来るのだと思います。この「お客様対応力」が当社の強みの一つです。

 もう一つの強みは、高い「現場力」です。当社の製品が、品質面で優れているとお客様から評価を頂けているのは、グループ会社も含めた各製造拠点が「技術・技能・モラール」の総合体とも言える優れた「現場力」を有しているからであります。

 今後も環境変化は続きますが、私たちは変化に対応し、必要な設備の更新投資を計画的かつタイムリーに行いながら、今ある設備を上手く使いこなし、各製造拠点の競争力を高めてまいります。全社的に推進している製造基盤整備活動を強化し、設備更新を逐次実施し、最適生産体制を絶えず追求しながら、当社の強みである「お客様対応力」と優れた「現場力」に一層磨きをかけ、競争力を高めていきたいと思います。

 また、研究開発機能を更に強化し、既成概念に捉われることなく、技術先進性を常に追求し続ける企業でありたいと思います。具体的には、大学や各研究機関との連携を強化し、汎用鋼の領域、所謂ボリュームゾーンでも競争できるコストレベルを実現するため、新プロセス開発を含む製造技術開発を強化したいと思います。加えて、お客様と連携しながら、新たな成長分野において、ニーズを先取りするような高機能商品の開発等、製品技術開発も強化し、技術先進性を追求して、当社のグローバル展開を進めたいと思います。

 二つめの「海外事業での収益拡大」とは、195社にものぼる現地の関連会社で推進している既存の海外事業における収益力の強化を図り、その上で、収益が上がる形での必要な事業拡大を行い、海外において更なる成長を目指す、ということであります。

 東アジア・ASEANにおいて増大する鉄鋼需要をめぐっての更なる大競争が到来していますが、私は、この競争に何としても打ち勝ち、世界においても他を凌駕する存在感のある企業で有り続けたい、と思います。それにはまず、海外事業でこれまで成果を上げてきた自動車を中心とする分野にとどまらず、資源・エネルギー、交通・運輸、インフラ等の、新たな需要が期待され、当社の競争力が活かせる分野でも、需要捕捉・商権確保を充実させ、お客様・市場から認めて頂くことが必要であります。

 また私たちは、進出した国々の発展の為に力を尽くし、その成長を促す企業でありたい、と思います。お客様や市場のニーズに応え、現地での鉄源を含めた最適生産体制の検討も常に視野に入れておくと共に、生産・加工・物流を含めたサプライチェーンの充実を図り、設備保全・物流・システム等グループ会社との連携や現地パートナー・行政当局とのネットワークづくりを強化してまいります。

 私たちは統合に際し、当社グループとして企業理念を定めました。私がここで申し上げたことは、この企業理念の具現化にほかなりません。真のグローバル企業とは、その国の発展のために力を尽くし、世界から信頼され、尊敬を受ける企業だと考えます。当社グループは、「世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会、即ち世界の発展に貢献するグループでありたい」と思います。


以 上





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