2014年 年頭にあたって(社員向けトップメッセージ:会長兼CEO 宗岡 正二)

2014/01/06

新日鐵住金株式会社

2014年 年頭にあたって
(社員向けトップメッセージ:会長兼CEO 宗岡 正二)

 年始にあたり、足元の経営環境と、これからの当社の進むべき方向について、お話いたします。

 一昨年10月の新会社スタート以降、当社の業績は概ね好調に推移しております。その要因として3点あげられると思っています。

 第1は、2012年末の自民党政権発足により、金融政策、財政政策、成長戦略等のいわゆるアベノミクスが打ち出される等、ビジネスを理解し、支援し、そして決める政治に変わったことです。

 第2は、そうした政策の効果や行き過ぎた円高の修正により株価も上昇する等、マクロ面で日本経済そのものが回復に向かい始め、またミクロ面でも当社のお客様の生産量が増加し経営状況が改善に向かっており、結果として、鋼材の販売数量や販売価格も底を打ち始めたことです。

 第3の要因は、「ベスト・フォア・ザ・ニューカンパニー」のスローガンの下、グループ全員が一致団結し、それぞれの課題に全力で取り組んでくれたことにあると考えています。当社およびグループ各社の従業員はもとより、協力会社各社や労働組合も含め、皆さんのこれまでの真摯な努力にあらためて深く感謝と敬意を表する次第です。これらの結果、統合効果も早期に実現しつつあり、現在推進中の中期経営計画についても、今年度末の時点でROS、資産圧縮、D/Eレシオ等で、目標レベルを前倒しで達成できる見込みであり、今後さらなる上積みにグループをあげて挑戦できる状況にあります。

 このような状況にあるものの、今後の当社の経営環境は必ずしも楽観できない状況にあります。世界経済は成長を続けるものの、その足取りは力強さを欠く見込みです。また、世界の鉄鋼需要は、中長期的には人口増加や社会の発展に伴って増加し、現在の15億トンから2030年前後には20億トンに達するものと期待されていますが、アジアを中心とした鉄鋼の需給ギャップは当面解消されない見通しです。

 日本を含む世界の経済や鉄鋼業の先行きが不透明ななかで、当社が今なすべきことは、「競争力」の着実な強化により、文字通り「総合力世界ナンバーワンの鉄鋼メーカー」を迅速に実現し、競合他社とは異なる次元の存在になること以外にありません。

 まず、海外においては、伸びゆく需要を他社に先んじて捕捉する体制を作らなくてはなりません。とりわけ、今後とも年率4~5%の鉄鋼需要の伸びが期待されているアセアンを含むアジア、および景気回復に伴い自動車販売台数が年間16百万台へと増加していく見込みにある米国を含む北米への対応は重要でありますが、既にかなりの布石を打っています。今年以降も、インドでTata社との自動車用冷延鋼板合弁事業、中国で自動車用鋼板合弁会社(BNA)の第4溶融亜鉛めっきライン(CGL)等が立ち上がり、更にアルセロールミッタルと共同での買収に合意した米国のアラバマ製鉄所についても、年央までには正式に調印できる見通しであります。今後も、現在検討しているインドネシアにおける自動車用鋼板事業も含めて、当社の先進技術力が発揮できるハイグレード分野を中心に、成長が見込まれる地域での供給体制の強化・充実に取組んでいく必要があります。また、特に成長するアセアンでは、下工程のみならず鉄源をも含めて、いかに当社の存在感を高めていくかということを常に視野にいれておく必要がありますが、足元の需給ギャップや、将来にわたる事業性に加え、当該地域のカントリーリスク等をより慎重に見極めていかねばなりません。

 こうした新しい案件への取組みとともに、既に実行している海外プロジェクトについても改めて再評価し、改善を進める必要があります。事業環境が変化するなかで、期待通りの収益が得られていない場合は改善策を迅速に実行し、改善が困難な場合には、抜本的な構造対策も実行しなければなりません。このように現在の当社にとっては、将来をしっかりと見据えるとともに、何時いかなる局面においても機動的に対処し得る企業体質を早期に実現することが求められています。

 また、国内については、各製造ラインがグローバル供給体制の中でのマザー工場として、高い品質と生産性、そして先進技術の追求・発揮も加え、全ての面で、他社を圧倒する製造実力を発揮し続けねばなりません。そのためには、中期計画に織り込んだ最適生産体制の実現とともに、4月に実施予定の製鉄所組織の統合・再編成等によって、組織のスリム化、業務運営の効率化、人的資源の最大活用を図る等、徹底的に体質を強化する必要があります。製造基盤整備は職場の安全、生産性、品質、コスト、そしてなによりも職場の士気の向上という面でも必要不可欠であると考えています。効率的で適切な点検や修繕のあり方について、操業、整備、設備・保全技術センター等が連携し、また旧両社の知見も結集してしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 グループの収益の大きな部分を支えている、セグメント会社、グループ会社においても、当社の統合後事業統合や業務再構築等の様々な課題に取り組んでくれたことに、あらためて感謝したいと思います。今後も、それぞれの事業領域で、直面する経営課題の解決に自律的に取り組むとともに、グループ全体で事業シナジーを更に発揮できるよう期待しています。

 昨年4月には「企業理念」を実現するための「社員行動指針」を策定し、中期経営計画とあわせて、グループ全体の進むべき道、社員としてなすべきことを明確にする等、統合新会社の基礎は固まりつつあります。

 今年も、国内外で将来への布石をしっかりと打ち込む一方、足元の課題を将来に先送りしないように取組む一年にして参りたいと思います。私自身も友野社長COOと共に、先頭に立って努力して参りますので、グループ全員で力をあわせて、「総合力世界ナンバーワンの実現」に向けて、明るく頑張る一年にしていきましょう。

以上



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