全国発明表彰において新しい技術の発展性を創出すると期待される分野で 最高賞「21世紀発明賞」を受賞

2013/05/16

新日鐵住金株式会社
日鉄住金マイクロメタル株式会社
新日鉄住金マテリアルズ株式会社


全国発明表彰において新しい技術の発展性を創出すると期待される分野で
最高賞「21世紀発明賞」を受賞
~ 「特許庁長官賞」もダブル受賞 ~

  新日鐵住金株式会社(代表取締役会長兼CEO:宗岡正二 以下、「新日鉄住金」)は、公益社団法人発明協会による平成25年度全国発明表彰において、特許権の登録後3年以内で、新しい技術の発展性を創出すると期待される分野を対象とする第二表彰区分では最高賞である「21世紀発明賞」を素材業界で初めて受賞しました。また、広く一般的に使用されている製品を対象とする第一表彰区分では「特許庁長官賞」を受賞しました。さらに、同時に新日鉄住金 代表取締役社長兼COOの友野宏が「21世紀発明貢献賞」を、日鉄住金マイクロメタル㈱ 代表取締役社長の井上俊男と新日鉄住金マテリアルズ㈱ 代表取締役社長の山田健司が連名で「発明実施功績賞」を受賞しました。
 全国発明表彰は、発明の奨励・育成を図り、我が国科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的として行われている伝統と権威のある賞です。なお、表彰式は本年6月18日に、ホテルオークラ東京にて行われます。受賞した発明の概要は以下のとおりです。

1.省資源型高強度電磁鋼板の発明
 (1)受賞名 : 「21世紀発明賞」
  対象者:
    新日鉄住金 技術開発本部 鉄鋼研究所   主幹研究員  田中 一郎
    新日鉄住金 技術開発本部 鉄鋼研究所   主幹研究員  藤村 浩志
    新日鉄住金 和歌山製鐵所 薄板部     主幹     仁富 洋克
    新日鉄住金 技術開発本部 鉄鋼研究所          屋鋪 裕義
    新日鉄住金 鹿島製鐵所  薄板生産技術部 主幹     西田 宏二
    新日鉄住金 和歌山製鐵所 薄板部     主査     高丸 広毅

 (2)受賞名 : 「21世紀発明貢献賞」
  対象者:
   新日鉄住金 代表取締役社長兼COO 友野 宏

 (3)発明の背景
 ハイブリッド自動車、電気自動車の性能を左右する最重要部品である車両の駆動モータには小型・高出力かつ高エネルギー効率を両立するIPMモータが広く採用されています。このようなモータに使用される電磁鋼板には優れた磁気特性、具体的には鉄損の低減に加えて、より高強度の電磁鋼板が要求されていました。こうした中で、合金添加による高強度化では、コスト高、製造効率の低下等の諸課題があり、高価な合金元素に頼らない省資源型の高強度電磁鋼板が切望されていました。

 (4)発明の内容
 高価な合金元素を使用しない「省資源型」の合金設計を基本とし、高強度化の手段として電磁鋼板分野では世界で初めて「転位強化」の活用することで、圧延加工性を損なうことなく充分な強度と優れた磁気特性を有する省資源型高強度電磁鋼板を開発いたしました。具体的には、製品板厚への圧延加工時に導入される「転位」により強度を向上させ、製品へ仕上げる際の熱処理工程にて、その転位量(転位密度)の最適化を図ることで、強度と磁気特性の両立を図ることとしております。

 (5)今後の展開
 高強度化に伴い回転子の変形が抑制されるため、これまでの電磁鋼板では不可能だった複雑な回転子の形状が可能となり、形状最適化を通じてモータ性能改善に寄与することが期待されています。このため、省資源型高強度電磁鋼板は、今後家電分野においても適用検討が進むと考えられ、生産・販売量の増加が見込まれます。
 加えて、当該電磁鋼板は電磁鋼板分野では他に類を見ない特徴的なミクロ組織を有しており、磁化とミクロ組織の関係等の学術的な検討価値も高く評価されています。

  
 図1 IPMモータの模式図 図2 省資源型高強度電磁鋼板のミクロ組織

2.LSI用新型高機能銅ボンディングワイヤの発明
 (1)受賞名 : 「特許庁長官賞」
  対象者:
    新日鉄住金 技術開発本部 先端技術研究所 上席主幹研究員 宇野 智裕
    新日鉄住金 技術開発本部 先端技術研究所 主幹研究員   木村 圭一
    新日鉄住金 技術開発本部 先端技術研究所 主幹研究員   寺嶋 晋一
    日鉄住金マイクロメタル㈱ 取締役 技術開発部長      山田 隆
    日鉄住金マイクロメタル㈱ 技術開発部 ボンディングワイヤ担当部長   西林 景仁

 (2)受賞名 : 「発明実施功績賞」
  対象者:
   日鉄住金マイクロメタル㈱ 代表取締役社長  井上 俊男
   新日鉄住金マテリアルズ㈱ 代表取締役社長  山田 健司


 (3)発明の背景
 半導体の内部で電気信号伝達を担う基幹部材であるボンディングワイヤには、化学的に安定している金(Au)がこれまで50年間一貫して採用されてきました。その間、低コストで高伝導性のある銅(Cu)ワイヤの開発が世界の多くの企業で幾度も挑戦されてきましたが、酸化問題等によりLSI用途では実用化されていませんでした。脱Au化と高機能を両立するCuワイヤが切望されていました。

 (4)発明の内容
 従来の単一構造のCuワイヤの延長ではなく、技術難度が高く商品化は困難とされた被覆ワイヤに挑戦しました。①ワイヤ素材として不適とされていたパラジウム(Pd)の被覆素材への採用、②特殊な二層被覆構造を開発、③その被覆構造をナノレベル制御する、ことにより銅ワイヤの課題をクリアした新型高機能Cuボンディングワイヤ(商品名「EX1」)の開発いたしました。

 (5)今後の展開
 最先端LSIにも実用可能な性能を低価格で実現する「EX1」は、2009年の量産開始以降、世界の主要顧客にAuワイヤからの置き換えとして採用され、急速にワイヤ市場に浸透しています。また、競合他社に対してもライセンス供与をするなど、「EX1」タイプは新型銅ワイヤ市場において世界標準の製品となっています。
更に、Auワイヤより優れる伝導性能や耐熱性能は、半導体の大電流化、低消費電力、高温耐性を実現し、市場が拡大しているハイブリッド車・電気自動車、LED分野等への普及拡大が期待されています。



 図3 半導体パッケージの構造 
 図4 EX1の実装例
(線径18μm,ワイヤ間隔50μm)

(お問い合わせ先)総務部広報センター TEL:03-6867-2146

以  上

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