エネルギー開発に貢献するパイプライン用「スーパー13クロム鋼管」 シェルが北海油田開発で採用
2013/03/26
新日鐵住金株式会社
エネルギー開発に貢献するパイプライン用「スーパー13クロム鋼管」
シェルが北海油田開発で採用
エネルギー開発に貢献する、パイプライン用「スーパー13クロム鋼管」(以下、S13Cr L/P)が、エネルギーのスーパーメジャーのひとつであるロイヤル・ダッチ・シェル(以下シェル)の100%子会社であるShell UKが手掛ける北海ガネット油田プロジェクトのパイプラインに約1,000トン(1万2,500メートル相当)採用されました。近年のエネルギー開発は、過酷化しております。石油やガスの掘削・運搬に使われる鋼管には、炭酸ガスや硫化水素など過酷な環境下での腐食や割れに強く、経済合理性があり、メンテナンスが不要で、安定調達できる製品が求められています。今回採用となった北海ガネット油田プロジェクトは、我々のS13Cr L/Pに適した炭酸ガスが多い過酷な環境です。製品性能はもちろん、経済合理性や調達面などで優れる当社のS13Cr L/Pをスーパーメジャーであるシェルが採用したことにより、今後の過酷な環境下のエネルギー開発で、一層普及が期待されます。
シェルはS13Cr L/Pについて、溶接の際、最適な施工条件を確立することが難しいことを早くから認識し、炭酸ガス腐食環境下では、多額なランニングコストのかかる腐食抑制剤を連続注入しながら炭素鋼を、またはクロムやニッケルを多く含む高価なステンレス鋼を使用していました。2007年に当社がこの施工上の技術的課題に対し、溶接後の熱処理が有効である旨の論文を発表したことを契機に、シェルは当社と共同研究を開始しました。当社は共同研究において、ナノオーダーで金属組織を解析可能な透過型電子顕微鏡(Transmission Electro Microscope:TEM)による観察技術で課題解決策の検証に貢献しました。シェルは共同研究での成果を踏まえ、溶接後の熱処理を施すことによりS13Cr L/Pの信頼性が確保されることを確認した旨、2013年3月19日の学会(NACE)で発表しました。
当社はシェルとEFA(Enterprise Frame Agreement)と呼ばれるより広範囲な長期契約を締結しており、製品の提供だけに止まらず、製品の信頼性の向上・現地施工を含めたトータルコストの低減・溶接後の熱処理といった施工技術まで踏み込んだソリューションの提供等に取り組んでいます。今回はその精神・信頼関係に則り両社で研究開発を続けてきたことが採用につながったものと考えています。
当社は、お客様との関係深化を通し、お客様ニーズを先取りした技術開発を通じて、近年ますます過酷な環境にある石油・ガス等のエネルギー開発に貢献してまいります。

