技術開発
素材としての可能性を極限まで引き出すこと、
すなわち「鉄を極める」という目標に向け、私たちは挑戦し続けています
さまざまなニーズに沿い、鉄鋼材料は様々なマクロ特性(強度、延性など)を発現させる必要があります。
このような、特性制御を可能とするのは、鋼材の成分制御、組織制御に因るものですが、これらの制御すべき因子(例えば、集合組織、粒界偏析、析出物など)は、nmレベルから原子レベルとなってきています。当社は、原子レベル分解能の電子顕微鏡技術の開発やアトムプローブ電界顕微鏡技術を他社に先駆け、いち早く開発を進めてきました。図1は、高い焼入れ性を示すボロン添加鋼において、旧γ粒界に偏析したボロンの分布を世界で初めて検出した例を示します。旧γ粒界に偏析したボロンがフェライト変態を阻害し、焼入れ性を支配する機構を証明するものとなっています。
また、図2は、数nmのTiCを含む鋼中にトラップされた水素の3次元分布をアトムプローブ電界顕微鏡で検出した結果を示します。
板状のTiC析出物の板面に優先的に水素がトラップされる様子が世界で初めて観察されています。
これらの知見が、水素遅れ破壊耐性の高い鋼材開発に結びついていくものと期待しています。