技術開発
素材としての可能性を極限まで引き出すこと、
すなわち「鉄を極める」という目標に向け、私たちは挑戦し続けています
計算機シミュレーションを利用した材料組織の予測技術 ~組織形成シミュレーション~
鋼などの金属材料が、素材から様々な製造工程を経て形を変えながら最終製品に至るまでには、材料の内部で多様な変化が生じています。それを私達は「組織変化」と呼んでいます。そして、この組織変化を適切に制御することにより、優れた材料特性(高強度、高延性、高耐食性)を持った金属材料を得ることが可能となります。したがって、組織変化を科学的に理解・予測することは材料開発や製品の信頼性を向上させる上で不可欠なことなのです。
組織形成シミュレーションとは、材料内部で生じる様々な組織変化の過程をコンピュータで予測する計算機シミュレーション技術です。この技術により、実験では説明困難な現象の解明や、実験と計算機シミュレーションの共同作業によって効率的な材料開発が可能となります。当社では、鉄鋼材料を中心に幅広い材料を対象にした組織形成シミュレーション解析を行っており、材料開発における重要なツールとして活用されています。今後はさらなる計算技術の向上に努め、当社の研究開発力を下支えする強固な基盤技術の確立を目指します。
動画:ステンレス鋼における溶接凝固過程のシミュレーション例
(赤色部:高Cr濃度領域、緑色部:低Cr濃度領域)
溶接凝固時に生じる元素の偏析状態を組織シミュレーションにより再現し、最適な溶接プロセス条件の探索に活用しています。