4.内面腐食 - 淡水腐食

内面腐食については、メカニズム的には外面腐食と同様ですが、環境が土壌から電解質溶液(水)に変わったものと考えればよいでしょう。

a. pHの影響

次図に示すように、pH4~9の範囲では、鉄面が水酸化物皮膜でおおわれ、腐食は水のpHと関係なく、皮膜を通過する酸素による復極で決定されますが、pH4以下では皮膜が溶け去り水素発生形の激しい腐食となります。皮膜に有害な塩化物などを溶存する領域では、次図と多少変わってきますが、Cl-とHCO3-を含有する水ではpH8付近で腐食が増し錆コブ発生傾向が現れます。

b. 溶存酸素の影響

淡水中の腐食は、pHの極端に低い場合を除き、腐食速度は溶存酸素量に比例します。
多くの金属表面で、溶存酸素濃度に不均一があると通気差電池のため低酸素の接面が陽極となって局部的に腐食します。錆コブの下部や隙間部分などにこの種の局部腐食は発生しやすいのです。(図2)

c. 溶解塩分の影響

水中に塩分などの溶解成分が増加しますと水の電導度が上昇し、その結果局部電流が増すとともに、腐食生成物が金属面から離れたところに沈殿するので腐食速度が増大します。しかし腐食が多くの塩類で約0.5Nで最大となり、それより高濃度で腐食が漸減するのは溶存酸素が減るためです。
溶解塩分としては、陽イオンよりも陰イオンの影響が大きく、中でもCl-などハロゲンイオンは一般の腐食のほか孔食,応力腐食の原因となるので有害ですが、SO42-やNO3-はCl-に比べると影響度は小さいでしょう。

鋼の腐食と塩分濃度の関係

d. 炭酸の影響(炭酸カルシウム飽和指数)

水中に溶存する遊離の炭酸は腐食性ですが、溶存酸素に比べると軽微です。むしろ、炭酸カルシウムを多く含む水では、陰極部にCaCO3の皮膜を形成しますので防食効果があります。従って、硬水は軟水よりも腐食しにくいのです。
次図に示すとおり、pH8以下の水は、遊離炭酸を含有しますが、pH8以上では結合炭酸のみとなります。

水中の遊離炭酸と結合炭酸の割合(D.S.Mckinney)

e. 温度の影響

水温10℃の上昇毎に、腐食速度は30%増加します。配管が開放系(流体と大気とが接する)の場合、80℃付近で極大となります。これは、溶存酸素を放出するためです。

鉄の腐食に対する温度の影響

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