技術開発
素材としての可能性を極限まで引き出すこと、
すなわち「鉄を極める」という目標に向け、私たちは挑戦し続けています
より安全性の高い大型船舶の実現する、高機能鋼材
大型船舶は水上に浮かぶ巨大な構造物です。船舶の事故は海洋環境に与える被害が大きいため、万が一の場合でも沈没という最悪の事態を回避することが求められます。
当社では、より安全性の高い大型船舶を実現するため、鉄鋼材料の開発、施工方法の開発、発生した破壊を止める究極の鉄鋼材料の開発などを進めています。
近年のコンテナ船の急激な大型化により、ますます厚手・高強度鋼が要求されています。鋼板の脆性破壊特性は板厚を増すほど低下することから、これら厚手鋼板の破壊性能が危惧されました。そこで当社はこの問題を解決するため三菱重工業(株)、(財)日本海事協会と共同で造船用鋼の必要破壊特性を明確にしたうえでアレスト性を具備し、溶接部破壊靭性に優れるコンテナ船用厚手EH47鋼を開発しました。
EH47鋼では,脆性破壊発生特性の向上のためHTUFF®技術を適用して溶接部HAZ組織を微細化するとともに、アレスト特性向上のために化学成分とTMCP条件(加熱温度、CR温度、圧下率、冷却速度等)の最適化を行い、母材組織を微細化させました。
これにより、脆性破壊に対する安全性の向上と高強度化による船舶の軽量化・省エネルギー化に貢献できるものと期待されます。
破壊発生防止のために!
近年、造船メーカーでは溶接効率を高めるために大入熱溶接が行われることが多くなっています。そうすると結晶粒が粗大化して、脆性破壊が発生しやすくなるという問題がありました。そこで、微細な酸化物・硫化物粒子を数多く分散させて、結晶粒の粗大化を抑える技術(HTUFF®)を開発、実用化しました。HTUFF®を適用した鋼材は、幅広い入熱範囲で大きな効果を発揮し、溶接部の靭性を飛躍的に向上させることができます。本技術は造船だけでなく、建築、海洋構造物、ラインパイプなどの広い分野で適用されています。