2022/03/09
日本製鉄株式会社
日本製鉄株式会社(以下、日本製鉄)は、株式会社エクサウィザーズ(東京都港区、代表取締役社長:石山 洸、以下、エクサウィザーズ)と共同で、製鉄現場の重機操業における効率的な技能伝承を実現するため、熟練作業者の作業状況を可視化するデータ解析基盤を構築しました。本年2月より、日本製鉄東日本製鉄所君津地区で実証実験を開始しました。
我が国では、少子高齢化に伴う人手不足や製造現場での技能伝承課題を背景に、産業基盤のDXによる「遠隔化・自動化」の推進が喫緊の課題となっています。
製鉄製造現場では、溶けた鉄の成分、品位調整をする際に発生するスラグを分離する作業を重機操作にて実施しています。千度を超える高温溶融物を扱う作業となるため、作業員は現場に設置したカメラで確認しながら重機を用いて遠隔操作で作業を実施しています(図1)。高温溶融物の状況が変化する中で、作業員の知識・経験に基づく判断が重要であり、効率的に技能伝承を進めるためには実作業の指標化や熟練作業員のスキル・ノウハウを形式知化することが必要となります。
今回、エクサウィザーズが提供する「exaBase ロボティクス」※を用いて、以下①~③のような現場にある各種情報、データを連携し、現状作業の可視化を行いました。
①センサーデータ:重機の操業位置、速度等
②動画データ :スラグ分離作業の状況、溶融物の状態等
③操業情報 :処理日時、作業者情報等
作業員の熟練度合いを解析することで、勤続10年以上の作業員がもつ操業技術を可視化し、新人作業員でも同等の操業が行えるように作業を支援するソフトウェアの検証を開始しています。今後、熟練度合いに関わらず、作業の均質性を保つことが期待され、東日本製鉄所君津地区にて取組を継続します。
エクサウィザーズは、「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」というミッションのもと、企業の各部門や全社課題の解決にAIを利活用した様々なイノベーションを提供するスタートアップです。介護・医療・ロボット・HR・金融・カメラなどさまざまな領域でAIプロダクトの開発と実用化に取り組み、事業を展開しています。
日本製鉄は、中長期経営計画の4つの柱の一つに「デジタルトランスフォーメーション戦略の推進」を掲げ、データとデジタル技術を駆使して生産プロセスおよび業務プロセス改革に取り組むとともに、意思決定の迅速化、課題解決力の抜本的強化に資する対策を強力に推進してきております。また、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した活動(「産業と技術革新の基盤をつくろう」)を通じて、これからも社会の発展に貢献していきます。
※【exaBase ロボティクス概要】
エクサウィザーズの登録商標である「exaBase ロボティクス」は、利用者にAIやプログラミング知識がなくても、ご利用の状況に合わせて各種ロボットに動作を学習・実行させることが可能なロボット自動学習システムを含むマルチモーダルなロボットAIソリューションです。単純作業の代替や熟練者の動作再現等、様々なシーンで活用することができます。
サイトURL:https://exawizards.com/exabase/robotics/