2021/05/25
日本製鉄株式会社
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
一般財団法人 金属系材料研究開発センター
日本製鉄株式会社、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、一般財団法人 金属系材料研究開発センターは共同で、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/ブルーカーボン(海洋生態系による炭素貯留)追及を目指したサプライチェーン構築に係る技術開発」に応募し、採択されましたのでお知らせします。
1.概要
昨今、気候変動対策としてのCO2の削減は日増しに重要度を増しており、カーボンニュートラル社会の実現は世界的な潮流となっています。我が国においても2020年12月に「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことが閣議決定され、革新的技術の実用化を見据えた研究開発を加速度的に促進する方針が示されています。具体的な戦略としては「革新的環境イノベーション戦略」として経済産業省より提示されており、その中には「ブルーカーボン(海洋生態系による炭素貯留)の追及」が明記されています。
こうした中、NEDOは、ブルーカーボン追及を目指したサプライチェーン構築に係る技術開発事業への取り組みを開始し、3者はこの技術開発事業の委託先として採択されました。我が国は古くより海藻養殖が盛んであり、世界トップレベルの技術・ノウハウを保有していること、また長い海岸線に恵まれていることからもブルーカーボンに関する技術開発は温暖化対策・産業育成の両面で有効と考えられています。
このような背景を受け、本事業では臨海製鉄所という地の利を生かして、カーボンニュートラル材であるマリンバイオマス(海藻)を生産し、それを製鉄プロセスの中で利用する「バイオマスの地産地消」という新たなサプライチェーンの構築を目指します。マリンバイオマスの利用については、製鉄プロセスで利用される炭素源(炭材や炭素材料)としての活用を検討していきます。生産については、製鉄プロセスで発生する鉄鋼スラグを利用した藻場造成で培った技術を活かして、海藻の積極的な育種に取り組みます。
マリンバイオマスのカーボンニュートラル材としての検討は、世界的に例がない研究です。本事業では、上記の要素技術の開発とともに、全体の経済性やCO2削減効果を含めた事業性検討を行い、実証段階への道筋を作ることを目指します。
2.事業内容
事業名: マリンバイオマスの多角的製鉄利用に資する技術開発
研究開発項目:
1) マリンバイオマスの高炉装入物など炭材としての利用検討(炭材製造に係る技術検討、利用性検討、製造システム構築に向けた技術調査、その他の製鉄利用に向けた可能性検討)
2) マリンバイオマスのピッチ・タールなど炭素材料としての利用検討(水熱炭化実験、水熱炭化物の評価)
3) マリンバイオマスの大量・安定生産技術の開発(ライフサイクル制御、ゲノム編集技術 の導入)
委 託 先 :
日本製鉄株式会社 (研究開発項目1および3)
日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 (研究開発項目2)
一般財団法人 金属系材料研究開発センター (研究開発項目1)
事業期間: 2021年度~2022年度
(ただし、 2022年度の実施ならびに内容はNEDO実施のステージゲート審査の結果を踏まえ決定)
予算: 1.4億円