2020/12/24
日本製鉄株式会社
日本製鉄株式会社(以下「日本製鉄」)と日鉄防食株式会社(以下「日鉄防食」)は、ライフサイクルコストの低減、社会インフラ長寿命化の観点から、チタンの持つ優れた特性を生かして構造物への適用拡大を推進しています。このたび、世界遺産登録「富岡製糸場西置繭所」(国宝)の耐震補強工事において、チタン箔シートが補強材の接合に採用されました。世界遺産登録(2014年6月「富岡製糸場と絹産業遺産群」で登録)かつ国宝指定の建造物にチタン製品が採用されるのは、初めてとなります。
今回の補強工事は、木骨煉瓦造建造物の耐震性を向上すべく、柱と柱の間に「筋交(ブレース)」を入れて建築物の耐震性を強化することが目的です。工事は、公益財団法人 文化財建造物保存技術協会が設計・監理、江尻建築構造設計事務所が構造設計、施工は竹中工務店、タルヤ建設JVが担当しました。「筋交」には、小松マテーレ株式会社製カボコーマストランドロッド(以下、カボコーマ)が採用されています。
天井及び屋根の部材とカボコーマ端部を束ねる金具であるロッドエンドとの接合部には、通常、木材を貫通する長尺ボルトで固定する工法が挙げられますが、これに代え、古材(元の部材)に一切の穴を開けることなく、接合金物をチタン箔シートで巻いて積層し固定、ロッドエンドを長尺ボルトで形鋼に締結する工法が採用されました。
チタン箔シートは、①積層する数により強度設計が簡便であること、②歴史的建造物では古材の保護を重要視しており、古材に対する接合後の金物からの錆等の不具合を極力少なくすること、③相対的に結露しにくい材料が求められたこと、更に、④数百年単位の耐久性が必要であるため、より耐久性がある材料が求められたことにより、建物を管理する富岡市に採用が認められました。
日本製鉄と日鉄防食は、今後も、チタン活用によるメリットを活かして、世界遺産登録、国宝、国指定重要文化財等の歴史的構造物の耐震性向上、安全性向上及びライフサイクルコストの改善等に貢献していきます。
■今回受注物件の概要