サステナビリティ
環境への負荷の少ない社会の構築に貢献していきます
水素社会の実現に向けて、日本製鉄グループは先進素材を提供することで貢献していきます。
水素社会に革命をもたらす究極の高圧水素用ステンレス鋼「HRX19®」
環境にやさしい水素で走る燃料電池自動車の普及のためには、水素ステーションなどのインフラ整備が欠かせません。当社と日鉄ステンレス鋼管(日本製鉄100%出資子会社)は、高圧水素用ステンレス鋼「HRX19®」を開発し、製造・販売しており、既に、商用水素ステーションの高圧水素環境下における配管や継手・バルブなどに採用されています。
水素は分子が小さいため金属組織の中に入り込み亀裂を生じさせることがあり、圧力が高くなるほどこの問題への対応が必要となります。HRX19®は、ステンレス鋼への添加物の配合や製造時の熱処理方法を工夫することにより、この問題を克服した材料で、水素ステーション配管の長寿命化や安全性向上を実現しています。
また、HRX19®は既存材のSUS316Lに比べ、約2倍の強度を有しているため、高圧水素環境下でも薄肉化設計を可能とし、配管内径を大きくすることによる大容量、短時間水素充填を実現するステーションの設計ができるうえ、軽量化による運搬時のCO2排出量削減メリットもあります。
さらに、既存材のSUS316Lは配管同士をネジで結合する施工法が一般的ですが、一つのステーションに数百個の継手が必要となり、施工工数がかかります。それに対して、HRX19®は溶接施工法を適用できるため、施工およびメンテナンスコストの削減に貢献します。
HRX19®は、このように高圧水素向けの配管として最適な材料であり、水素ステーション機器接続配管、ディスペンサー内配管、燃料電池自動車燃料配管等の用途に役立ちます。当社は今後、水素社会の実現に必要なインフラの構築を加速させるよう、鋼材供給の観点から貢献していきます。
また、当社グループの日鉄P&Eは、水素ステーションの建設事業に本格参入しました。
同社は50年以上にわたり、天然ガスパイプラインやLNGプラント等のエネルギーインフラの構築に貢献してきました。水素インフラ分野においても愛知万博での水素ステーションや北九州水素タウンにおける国内初の水素パイプラインの建設実績があります。同社はその高いエンジニアリング力に加えて、2014年2月に水素供給の世界的なリーディングカンパニーである米国エアプロダクツ社と提携し、安全性と信頼性に優れた水素ステーションの建設を通じて、水素社会の実現に貢献します。
さらに、当社グループの日鉄テクノロジーは、高圧水素中での引張試験、疲労試験等の材料評価など、水素ステーションや燃料電池に使用される部材の評価を事業として行っており、当社グループの水素社会実現への取組みを支えています。