サステナビリティ
環境への負荷の少ない社会の構築に貢献していきます
「スーパーダイマ®」は、従来の溶融亜鉛めっき鋼板にアルミニウム、マグネシウム、シリコンを加え、これらの複合効果で耐食性が従来の4倍も向上し、鋼材の長寿命化が図られました。製造工程での省エネルギー化、鋼材使用量の削減、そして製品の耐久性が高まったことで屋外で使用される建材として数多く採用されており、建築物の長寿命化に貢献しています。
従来の亜鉛めっき鋼板よりも4倍も長持ち。
長持ちして低コストなため、建材をはじめ家電製品・自動車部材や太陽光発電の架台等、さまざまな用途に幅広く活用されています。
長期の使用に耐え、役割を終えた後もリサイクルして再び鋼材として生まれ変わります。
ASEANの社会コスト抑制及び環境負荷低減に期待
NSブルースコープ社では、2015年にタイで「スーパーダイマ®」を生産開始することを決定しました。
「スーパーダイマ®」を日本国外で生産するのは初めてです。「スーパーダイマ®」は日本製鉄で開発された商品で、その卓越した耐食性により、建材から家電まで幅広く使用されてきました。2012年、日本工業規格を取得し、さらなる用途拡大が期待されています。
私たちは、「スーパーダイマ®」がASEAN各国の社会コストを抑えるとともに、環境負荷低減にも貢献するものと確信しています。この素晴しくエコロジカルな製品をASEANに広められるよう努力していきます。
鉄鋼材料は、自動車などの製品の寿命が終わっても、スクラップとして回収され再び新しい鉄鋼製品として再生されます。鉄鋼素材の最大の強みは「無限リサイクル」が可能だということです。回収されたスクラップを再び鉄鋼原料として利用すると、その分新たに消費する天然資源や鉄鉱石還元時に発生するCO2を削減することができます。すなわちスクラップは「環境価値」を持っているわけです。
世界鉄鋼協会ではこの点に着目し、製品廃棄後のスクラップリサイクルを加味した環境負荷の評価法を確立しました。例えば、自動車の廃車時に回収されるスクラップの持つ環境価値を控除し、スクラップを利用する場合に再配分するという手法です。この手法を用いれば、スクラップ回収による環境改善効果も適切に評価され、天然資源とスクラップの両方から製品を作る鉄鋼プロセス全体を、公平に評価することが可能となります。
また、寿命を終えた鉄鋼製品が供給源となるスクラップは発生量に限界があり、世界で需要が拡大し続けている鉄の供給を全て賄うことは不可能です。社会が必要とする鉄の供給は、天然資源である鉄鉱石を基幹的な供給源とし、そこにスクラップ再生を組み込んだ一体のシステムの上に成り立っているのです。
自動車は軽量なほど燃費が良くなり、走行時のCO2を減らすことができます。このため、燃費改善のための軽量素材の適用はこれからも加速していくものと考えられます。しかし軽量素材の製造段階で、大きなエネルギーを消費したり、廃車後の素材リサイクルが不可能ならば、ライフサイクル全体では逆にCO2排出量が増大してしまうということもあり得ます。製品の一断面だけではなく、素材のリサイクルを含めたライフサイクル全体で環境負荷を考える視点が重要です。
環境負荷を製品のライフサイクル全体で評価するのがライフサイクルアセスメント(LCA)という考え方です。多くの環境負荷は目に見えませんが、つくるときからすてるときまでのライフサイクル全体で「見える化」することがLCAなのです。LCAの視点から見ると、「鉄」は他の素材に比べて環境負荷がとても小さいことから、持続可能な素材であるということができるのです。
日本でつくられている鉄が、何回リサイクルされてさまざまな製品として循環するのかを推計したことがあります。鉄鋼材フローをもとに確率過程論を用いた推計により、平均5回程度循環利用されるとわかりました。これは鉄が他の素材に比べても多くの回数リサイクルされることを示しています。鉄が使われているさまざまな製品が寿命を迎えて、鉄スクラップとして回収されるまでの使用年数は製品によりますが、平均すると今つくられた鉄は100年後も使われ続けていると期待されます。
何百年も先の子孫がよりよい生活を送っていけるような、持続可能な素材の使い方を見つけたいですね。それがゴールです。どういう資源に基づいて、どういう素材をどう使い、どうリサイクルすべきなのか。持続可能な材料で社会設計したいと思っています。
鉄には、資源の豊富さ、生産効率のよさ、材料特性の多様性、リサイクル性のよさなど多くの点でアドバンテージがあります。だからこそ、他の素材より多く、そして多様な用途で使われている基盤材料となっていることを認識することが重要です。鉄は、これからも構造材として欠かせない材料で、間違いなく社会の基盤となり続ける素材です。