サステナビリティ
環境への負荷の少ない社会の構築に貢献していきます
世界の経済発展を支えている鉄道。現在、130カ国を超える国と地域で、旅客用や貨物用など地域の実情に合わせて利用されています。鉄道の特徴は、第一に高速・大量輸送機関であること、エネルギー効率に優れていること、そして何より「環境負荷が小さい」ことが挙げられます。
例えば電化されている鉄道のCO2排出量は発電にともなう分だけであり、他の輸送機関に比べて相対的に少なく、低炭素社会の実現に欠かせない輸送手段と考えられるのです。
その鉄道の新時代を切り拓いたのが、1964年に日本で開通した東海道新幹線です。時速200kmを超える高速鉄道の実用化は世界中に大きなインパクトを与え、当時、日本に8,000万ドル(288億円)を融資した世界銀行では「数ある借款の中で最も誇らしい融資」と語り継がれました。新幹線というイノベーションによって、鉄道は世界の輸送・移動の中心的役割を担い続けることになり、インドをはじめ今なお世界での需要は高まっています。
現在、国内の全新幹線の輪軸の100%と、レールの約80%を日本製鉄が供給しています。それだけでなく、JRや全国の私鉄各線、さらには海外の貨物鉄道から高速鉄道まで、当社の輪軸・レールは広く使用されています。
日本で唯一、鉄道用の輪軸を製造しているのが、日本製鉄の関西製鉄所 製鋼所地区(大阪市)です。また、国内の鉄道用レールのほとんどは九州製鉄所 八幡地区(北九州市)でつくられています。
当社は、重い荷重を支える貨物鉄道用の高耐摩耗性レールや、時速300kmを超える高速走行を支える高強度・高耐久性レールを、世界に先駆けて開発しています。当社の技術によりレールの長寿命化が実現し、レール交換頻度の減少や、重量物の大量輸送の実現をもたらし、年間約12万トンのCO2削減にも貢献しています。一方の輪軸では、高速化ニーズに対応すべく、車軸、ブレーキディスク、駆動装置等の「軽量化」とそれに伴う省エネを実現しています。
今後世界の趨勢として、輸送のさらなる効率化に向けて、貨物の重載化や速度の向上が更に進み、輪軸・レールの使用環境はますます過酷になると考えられます。当社は、旧住金の輪軸技術と旧新日鉄のレール技術を融合することで、より総合的な視点に立った研究・開発が可能な国内唯一のメーカーとなり、新しい時代のニーズに対応し、イノベーションを起こす基盤が整いました。
高速走行ではレールの凹凸の許容範囲が0.3mm以下という高い精度が求められます。当社は最高品質のレール(1mあたり重量60kg)を供給するとともに、輪軸による安全性の向上、車体の軽量化にも貢献しています。
ICE(Inter City Express)は、1991年にドイツで営業運転を開始し、スイスやオーストリア、ベルギー、フランスなど欧州各国に乗り入れています。当社の車輪は世界最高水準の清浄度を有し、これまで7,000枚以上をICEに供給しました。
1両あたり重量が約130トンもの物資(鉱物や資源)を積んだ貨車が何十両にも連なり、広い国土を走行する海外の貨物鉄道。当社の重荷重鉄道用レールは過酷な使用条件に耐え得る耐摩耗性を誇り、北米をはじめ世界の貨物輸送を支えています。
東海道新幹線N700Aの場合、ブレーキディスクを20%軽量化することで輪軸として6%の軽量化を実現し、省エネ(CO2排出削減)に貢献しています。
鋼の表面耐久性を向上させるために炭素の量を制御するなど、さまざまな技術で20 ~ 40%の長寿命化を実現。長寿命化による交換頻度削減によりCO2を年間12万トン削減します。