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チタンとはどんな金属?メリットや利用用途を解説!

チタン基礎

金属の種類の中でもチタンは数多くの特性を持つ素材です。非常にメリットが多く、実際にさまざまな業界で使用されています。

しかし、『チタン』という言葉を把握している方でもどのような金属なのか理解していない人も多いでしょう。チタンの概要や特徴を知ることで、その魅力を存分に味わうことができます。

今回、チタンの基本情報やメリット、利用用途について詳しく解説しますので、興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

チタンとは?

まず、チタンの基本概要についてご紹介します。

チタンの基本情報

『チタン』とは、元素記号「Ti」で表現される金属材料のことです。元素記号は22番、軽量や不燃性が高いなどの特徴があります。

1791年、イギリスの川の砂の中で発見されたことがきっかけです。グレゴール牧師が発見し、メナカナイトと名付けました。それから3年後、ドイツのクラプロートが鉱物標本を分析し、金属元素を発見したのです。そのとき、ギリシャ神話に登場する最初の子供の名前「Titans」からチタンと命名しました。その後、1910年にチタンと酸素を分離できる方法が見つかり、1948年マグネシウム還元法により大量生産できるようになったのです。

チタンは、チタン鉱石からスポンジチタン、チタンインゴット、展伸材という工程を経て製造されます。用途に応じて圧延、鍛造などの処理を施すのが一般的です。

チタンの特徴は?チタン のメリット・デメリット

チタンには、4つのメリットと2つのデメリットがあります。それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説しますので、ぜひチェックしてください。

チタンのメリット(1)高比強度

1つ目のメリットは、高比強度であるという点です。工業材料の性質を表す引張強度があります。下記の表を見ればわかるように、ほかの素材に比べて強度が高いです。

金属の種類 チタン合金 ステンレス アルミニウム
引張強度(N/mm2) 約999 約213 約74.4 約75.7

そのため、強度が求められる自動車のエンジンバルブやロケット部品にも使われることが多いです。

また、強度だけでなく、たわみやすい特性を持ちます。ほかの素材に比べて柔軟性があり、鉄などに比べて2倍曲がりやすいです。少しの曲がりだけなら、元に戻る性質があります。

さらに、熱にも強い金属です。チタンの溶解は1660℃と言われており、鉄や銅、アルミニウムよりも高くなります。そのため、熱に対する耐久性もあるため、優れた金属です。

チタンのメリット(2)高耐食性

2つ目のメリットは、高耐食性です。チタンはほかの素材に比べて錆びにくくなります。なぜなら、本体を覆う酸化皮膜によって酸化しづらくなっているからです。鉄や銅はもちろんのこと、耐食性が高いことで有名なアルミニウムよりも錆びづらく、チタンは錆びない金属ともいわれている程です。

また、海水においても高い耐食性があるため、船の装甲板などにも使用されている素材です。

チタンのメリット(3)軽金属

3つ目のメリットは、軽量な金属であるという点です。普通鋼やステンレス鋼の約60%程度軽いです。。また、銅と比較すると半分の重量です。アルミよりは重たいですが、耐久性が高く、軽量性にも優れているため、部品の軽量化のためにチタンが用いられるケースも少なくありません。実際に航空機の部品でチタンが利用されていたりします。

チタンのメリット(4)無害・生体適合性

4つ目のメリットは、無害かつ生体適合性が高いことです。そのひとつとして金属アレルギーを起こしづらい点が挙げられます。

金属アレルギーは、金属イオンが汗などに溶け出すことが原因です。しかし、チタンは、空気中の酸素と反応すると酸化皮膜を形成します。これにより、金属イオンが汗などに溶け出すことがないため、金属アレルギーを引き起こしづらいといわれているのです。この性質を利用して、チタン素材のピアスを販売し多くの人がおしゃれを楽しめるように工夫している企業もあります。また、歯科インプラント治療に用いられることも多いです。

そのほかにも、熱伝導率が小さいことも生体適合性が高いといわれる理由のひとつです。ほかの素材に比べて熱の移動が起こりづらく、人は不快なく使用できます。例えば、チタン製のコップは温かい飲み物を入れても飲むときにコップから熱さを感じることは少ないです。そのため、素材としてチタンを使えば、より利便性の高いアイテムを作ることができます。

チタンのデメリット(1)高単価

デメリットとして挙げられるのが価格です。キャンプ用品のコップには、ステンレス製の商品とチタン製のものがありますが、ステンレス製に比べて2倍の価格で販売されるケースも珍しくありません。チタンが使われているだけで商品が高額になることは非常に多いです。

値段が高い理由は、製造の難しさを挙げることができます。チタンは、鉱物として取り出された際、酸化しないように処理を施さなければなりません。また、金属としての純度を高める必要があるので、手間がかかります。そのため、ほかの金属に比べて高単価になることが多いです。

希少であるという点も値段が高くなる理由のひとつです。需要に比べて流通量は少なく、市場価値が非常に高いです。そのため、需要に対して供給が少ないため、自然と価格が高くなります。

チタンの種類

チタンの種類は純チタンとチタン合金の2つです。それぞれの種類の特性について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

純チタン

純チタンは、国内で頻繁に使われている種類です。

比較的加工がしやすく、切削性も低くありません。また、耐食性に優れており、長持ちしやすいという特徴があります。さらに、比重が約4.5となっており、軽量な点も特徴です。

一方、加工はしやすいですが、摩耗に強くありません。また、焼入れなどで強度を調節することは難しいです。

チタン合金

チタン合金は、α型合金とβ型合金、α+β型合金の3つにわけられます。

α型合金

α型合金は、アルミニウムを添加した際に作られる合金です。高温下のクリープ強度が強く、低温下の脆性破壊強度が高い素材になります。一方、加工しづらい金属です。

β型合金

β型合金は、常温下においても100%のβ相を持つチタン合金です。代表例としては、Ti-13V-11Cr-3Alなどが挙げられます。高強度であるのにも関わらず加工性に優れており、さまざまなシーンで使われるチタン合金です。一方、高温には弱いという性質を持ちます。

α+β型合金

α+β型合金は、常温でα相とβ相が共存する種類です。α相とβ相をうまく組み合わせることで、製造工程において扱いやすくした合金になります。高温下でも十分な強度を保持することができ、β型合金よりも強度が安定しているチタンです。また、時効処理が可能であり、さまざまな用途に使用できます。一方、摩擦に弱い点がデメリットです。

チタンの利用用途

最後に、さまざまな分野におけるチタンの利用用途について解説します。

航空機分野

航空機分野においては、航空機の機体にチタン材料が使用されています。材料例は下記の通りです。

  • 純チタン
  • Ti-6Al-4V 合金
  • Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Mo 合金
  • Ti-8Al-1Mo-1V 合金など

民間機の航空機には、ターボファンエンジンが多く採用されていますが、その中のファンとコンプレッサーにチタン合金が使用されています。銅系素材が使われていた従来の機体よりも軽量化が可能となりました。

一般産業分野

一般産業分野でチタンを使用しているのは、化学プラントです。具体的には、電力・海水淡水化プラントの復水器や海水淡水化装置、化学プラントの電極や貯蔵槽などでチタンが使用されています。

また、次亜塩素酸ソーダなどを運ぶタンクローリーのタンクにおいてもチタン素材が採用されています。その理由は、腐食性や強度に優れているためです。

建築分野

建築分野においても使用されているところが多いです。チタンは耐久性が高いため、伝統的な日本建築物の屋根材などで使用されています。また、軽量なため、球体展望台の素材にも採用されているのです。さらに、発色という特性を活かし、デザイン性を高めるために使われることもあります。例えば、ホテル・マルケス・デ・リスカルはその一例です。

自動車・二輪車分野

軽量化を図るため、自動車産業の分野においても積極的に採用されています。例えば、自動車のエンジンバルブです。強度に優れているチタンは、エンジンバルブの素材としても使用することができ、車体全体の軽量化を図っています。

そのほかにも、チタンが採用されている部分は二輪自動車の燃料タンクです。燃料タンクを軽量化することで、低重心化を図り、操作性の向上を達成しています。

民生品分野

日用品分野においては、ゴルフのドライバーヘッドがその一例です。ドライバーヘッドにチタンを採用することで、ゴルフクラブの軽量化を図ることができます。これにより、操作性が増し、ボールをより遠くに飛ばすことができるようになるのです。そのほかにも用途例としてテニスラケットや自転車などが挙げられます。

健康分野

生体適合性や無毒性という特性から健康分野でも使われる金属です。

実際に、幅広い健康分野で使用されています。例えば、人工骨や心臓弁、手術用器具などです。チタンは金属アレルギーを引き起こしづらい素材になるため、医療分野で広く活用されています。

海洋土木分野

海洋土木分野では、滑走路の桟橋や東京湾横断道路などで使用されています。耐食性に優れており、軽量なためです。滑走路の桟橋や東京湾横断道路は海水に接触しやすいため、使う素材としてチタンが最適となるでしょう。

まとめ

今回は、チタンの基本概要やメリット・デメリット、利用用途について解説しました。チタンは耐食性に優れ、軽量なため、さまざまな分野で実際に活用されています。しかし、価格が高いなどのデメリットも存在し、素材として使用するためには予算が必要です。また、加工が難しいことも欠点のひとつになるでしょう。

チタンには、複数の種類があり、それぞれの種類によって特徴が変わります。そのため、種類別の特性においても把握しておくのがおすすめです。

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