新日鐵住金 第59回大河内賞「大河内記念生産賞」をダブル受賞

2013/02/12

新日鐵住金株式会社

新日鐵住金 第59回大河内賞「大河内記念生産賞」をダブル受賞

 新日鐵住金株式会社(代表取締役会長兼CEO:宗岡正二)は、第59回(平成24年度)大河内賞において、「大河内記念生産賞」を2件受賞しました。
 大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念して、大河内記念会が我が国の生産工学・高度生産方式の実施等に関する顕著な業績を表彰する伝統と権威のある賞です。
 受賞した技術の概要は以下のとおりです。

1.「天然ガスの大幅増産を実現させる高合金油井管および製造技術の開発」

 天然ガスは、高温で厳しい腐食環境下に存在する場合が多く、通常、その採掘には、クロムやニッケルを多く含有する高価な高合金油井管が用いられている。昨今の新興国の経済成長に伴い、更なるエネルギー需要の拡大に対応するため、高合金油井管の量産技術と、天然ガスの生産性向上および、大深度のガス田開発を可能とする高合金油井管の開発が求められている。当社は、以下3つの技術開発によりこれらの課題を解決した。

1)中小径(直径18cm以下)高合金油井管の量産技術開発
 中小径高合金油井管の量産技術については、溶鋼の鋳造について、新設計のモールドパウダー(鋳型潤滑剤)による冷却制御技術の開発等により、インゴット鋳造から連続鋳造化を実現、製管工程での歩留まり改善策等とあわせ、年間製造可能量を1990年代前半の約7倍に拡大して世界最高の供給能力を実現した。

2)大径(直径18cm超)長尺高合金油井管の製造技術開発
 製造可能寸法制約の少ない穿孔圧延製管法は、これまで加工時の発熱による溶融割れが起こるため、高合金材料には適用できなかった。今回、穿孔圧延の3次元数値解析モデルを世界で初めて実用レベルで構築し、加工時の発熱を約30%低減させる圧延条件の最適化等を実現することにより、世界で初めて大径長尺高合金油井管の量産技術を確立した。

3) 大深度ガス田開発用超高強度高合金油井管(降伏強度1000MPa級)の開発
 大深度ガス田用高強度高合金油井管の開発については、窒素含有量を高めて高強度化するとともに、レアアースメタルの添加により、世界初の転位構造制御による耐腐食性の向上および熱間加工性の改善を実現し、超高圧・高温環境下で使用可能な超高強度新合金を開発、出荷している。


過酷な環境に耐えうる高合金油井管




2.「石炭資源拡大を可能とする省エネルギー型コークス製造技術」
  (JFEスチール㈱、㈱神戸製鋼所、日新製鋼㈱、三菱化学㈱と共同受賞)

 製鉄で使われるコークスは、鉄鉱石を還元する機能に加え、溶鉱炉内での通気性を確保するため、鉄鉱石の重さに耐える強度が必要となります。そのためにコークス製造用の原料炭には高い品質が求められるが、高品位炭は産出量が限られ、価格も相対的に高い。従って、製鉄産業の国際競争力を確保するためには、安価な低品位炭の利用を極限まで高めつつ、性能の高いコークスを製造する技術の開発が必要である。当社はコークス炉を保有する企業と共同で、国家プロジェクト「次世代コークス製造技術 SCOPE21」として開発を行った。
粘結性の低い低品位炭の混合率を上げるとコークスの強度は下がる。しかし、コークス強度の発現メカニズムの研究と、原料炭の事前熱処理のシミュレーションを組み合わせ、解決策を見いだした。原料炭を固体の大きさに基づいて微粉炭と粗粒炭に分級し、微粉炭を熱間成型した後に高速昇温処理をした粗粒炭とともにコークス炉に装入すると製品コークスの強度は低品位炭の使用比率をあげても必要な数値を確保できることがわかった。
2008年、当社は大分製鉄所にこの技術を取り入れた新型コークス炉を世界で初めて導入し、安定的に低品位炭の使用比率を57%程度まで上昇することができている。現在、名古屋製鉄所で2基目の導入を実行中である。


大分製鉄所 新型コークス炉



(お問い合わせ先)総務部広報センター TEL:03-6867-2146,2977


以 上


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