社長メッセージ

「持続可能な社会の実現(SDGs)に向けて」代表取締役社長:橋本 英二

Message from the President

日頃より当社にご理解、ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

当社は、将来にわたって日本の産業競争力を支える「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指して成長し続けることを念頭に、2021年3月、中長期経営計画を公表し、これに則した経営を推進しております。この計画のなかでは、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」を掲げた上で、気候変動問題への取り組みを当社の最重要課題と位置付けております。当社は、脱炭素社会に向けた取り組みにおいて他国との開発競争に打ち勝ち、引き続き世界の鉄鋼業をリードしていくことを基本に、環境と成長の好循環を図ることを通じて、企業価値の向上を目指していきます。

当社は、「環境」を企業経営の根幹をなす重要課題と位置付け、環境負荷の少ない環境保全型社会の構築に貢献していくことを「環境基本方針」に掲げております。国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の取り組みが進むなか、とりわけ気候変動問題については、人類の存続に影響を与える重要な課題と認識しており、引き続き、気候変動対策の推進をはじめ循環型社会構築への貢献、環境リスクマネジメントの推進等を通じ、地球規模から地域に至る様々な環境問題に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

当社が推進中の「カーボンニュートラルビジョン2050」には2つの側面があります。

一つは、当社の優れた高機能鋼材とソリューションの国内外への提供により、カーボンニュートラル社会実現に広く貢献していくことであり、これは当社にとって大きなビジネスチャンスでもあります。そのための先行投資として、電磁鋼板の能力・品質向上対策、名古屋製鉄所における次世代型熱延ラインの新設投資を決定し、順次実行中です。

もう一つは、製造工程での抜本的なCO2削減を目指した新しい生産プロセス開発への挑戦です。これには、前人未到の領域を含むハードルの高い技術開発が必要とされます。鉄鋼業の歴史において、極めて大きな挑戦になりますが、当社の有する世界一の技術開発力を活かすことにより、他に先駆けて開発の目途をつけ、更に製造プロセスとして早期に実装することが何より重要です。こうした事業環境の劇的な変化を、世界の鉄鋼業界において当社が圧倒的な優位性を再構築する絶好の機会と捉え、経営の最重要課題として積極的に取り組んでいきます。更に、カーボンニュートラルスチールをお客様にいち早く提供することにより、お客様のCO2削減にも貢献していくことを目指します。

当社は、2030年には2013年対比30%のCO2排出量削減、2050年にはカーボンニュートラルを目指しておりますが、2021年12月、その実現に必要な技術開発案件が政府のグリーンイノベーション基金における「製鉄プロセスにおける水素活用」プロジェクトに採択される等、製鉄プロセスの脱炭素化の実現に向けた開発を本格的に始動させています。

今後も、研究開発や設備実装に対する政府の支援、水素供給インフラの確立、安価で大量のカーボンフリー電源の実現、莫大なコストを社会全体で負担する仕組みの構築等、官民連携のもと、カーボンニュートラルの実現に積極果敢に挑戦していきます。

また、循環型社会構築への貢献は、持続可能な社会を構築しながら経済成長を進めていくという観点で不可欠の課題です。そもそも鉄は分別が簡単にでき、リサイクルしても品質が殆ど低下せず、多様な製品に再生が可能な「何度でも何にでも生まれ変われる」素材であり、まさにサーキュラーエコノミーを体現している素材といえます。また、鉄の製造工程で発生する副産物の循環利用によるゼロエミッションの実現や、社会で発生する容器包装プラスチックの100%再資源化等にも積極的に取り組んでいます。更に、本年4月に施行されたプラスチック資源循環促進法を踏まえ、当社における更なるプラスチック・リサイクルの処理量拡大を検討していきます。今後もたゆまぬ技術革新等を通じ、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきたいと考えています。

次に、地域生活環境の維持・向上に関しては、事故・トラブル防止をはじめとする環境リスクマネジメントが当社の事業存続上、安全・防災と並びすべてに優先される取り組みであると考えています。法令遵守はもとより、自治体の条例や基準への適合をはじめ、事業拠点ごとの実情を踏まえ、きめ細かな環境負荷軽減対策をハード・ソフトの両面から実施していきます。

生物多様性保全に関しては、事業活動の基盤として必要不可欠であるとの認識のもと、当社は長年にわたって、各製鉄所における「郷土(ふるさと)の森づくり」や、沿岸海域における藻場造成とCO2吸収を企図した「ブルーカーボン」活動等、自然保護と生産活動を調和させた取り組みを多方面に展開していますが、引き続き、当社の経営資源を活用した様々な取り組みを積極的に推進していきます。また、当社は「経団連生物多様性宣言・行動指針」に賛同し、これに基づいた当社としての取り組み方針に則した活動を進めています。将来に向けて、自然共生社会の構築への取り組みが地域・グローバル両面での課題であることを認識し、それらを事業活動に取り込んだ環境統合型経営を行うことを通じて持続可能な社会の実現を目指します。

当社は、「常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献する」という企業理念を掲げています。これはSDGsの考え方と完全に一致しているものと考えています。今後も当社は、事業活動そのものを通じて様々な社会課題の解決に貢献していく企業であり続けたいと考えています。

このレポートでは、環境以外にも、当社が取り組んでいる、人権の尊重、ダイバーシティ&インクルージョン、安全・防災、品質、生産・サプライチェーンマネジメント、地域・社会との共生等、様々なステークホルダーとの関わりや社会課題への対応について紹介しています。

とりわけ、多様な価値観の尊重や人権問題に配慮した事業活動について、および多様な従業員が生産性高く、持てる力を最大限発揮し、誇りとやりがいを持って活躍できる企業を実現する観点から、ダイバーシティ&インクルージョンに関する活動について、詳細に紹介しています。また、当社は「世界最高の技術とものづくりは人づくりから」との考えのもと、人材育成に注力し、製造実力の向上に取り組んでいます。引き続き、社会の発展に貢献するという当社の企業理念のもと、皆様からいつまでも信頼され続けるよう、企業の社会的責任を果たしていきます。

私どもは、これらサステナビリティ課題への取り組みを企業の持続的成長を支える基盤と捉え、最も重要な経営課題の一つと認識しております。それらを踏まえ、当社の企業理念や価値観、ステークホルダーの皆様からの要請、当社の成長戦略等を考慮し、重点的に取り組むべきサステナビリティ課題における重要課題(マテリアリティ)を特定しています。そして、その取り組み成果を評価する指標(KPI; Key Performance Indicator)に基づいて活動を推進・フォローすることで、より高いパフォーマンスを目指していきます。

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