社長メッセージ

「持続可能な社会の実現(SDGs)に向けて」代表取締役社長:橋本 英二

Message from the President

日頃より当社にご理解、ご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

当社は、将来にわたって日本の産業競争力を支える「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指して成長し続けることを念頭に、本年3月、新たな中長期経営計画を公表しました。その一つの柱として、「カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げて、超革新技術の開発等による抜本的なCO2排出削減への挑戦を当社の最重要課題と位置づけました。脱炭素社会に向けた取り組みにおいて他国との開発競争に打ち勝ち、引き続き世界の鉄鋼業をリードしていくことを基本に、環境と成長の好循環を図ることを通じて、企業価値の向上を目指していきます。

環境への取り組み(Environment)

当社は、「環境」を企業経営の根幹をなす重要課題と位置づけ、環境負荷の少ない環境保全型社会の構築に貢献していくことを「環境基本方針」に掲げております。引き続き、気候変動問題、サーキュラーエコノミーの実現、良好な地域生活環境の維持・向上等、地球規模から地域に至る様々な環境問題に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の取り組みが進むなか、とりわけ気候変動問題については、人類の存続に影響を与える重要な課題と認識しています。今回掲げた「カーボンニュートラルへの挑戦」には2つの側面があります。一つは、当社の技術や商品の国内外への提供により、グリーン社会実現に広く貢献していくことであり、これは当社にとってビジネスチャンスでもあります。そのための先行投資として、電磁鋼板の能力・品質向上対策、名古屋製鉄所における次世代型熱延ラインの新設投資を決定しました。

もう一つは、製造工程での抜本的なCO2削減を目指した新しい生産プロセス開発への挑戦です。これには、前人未到の領域を含むハードルの高い技術開発が必要とされます。鉄鋼業の歴史のなかでも最も難易度の高い挑戦になりますが、当社は、こうした事業環境の劇的な変化を、世界の鉄鋼業界において当社が圧倒的な優位性を再構築する絶好のチャンスと捉え、経営の最重要課題として積極的に取り組んでいきます。当社の有する世界最高の技術開発力を活かすことにより、世界に先駆けてカーボンニュートラル生産プロセスを開発し、2050年までに製造プロセスに実装していきます。更に、カーボンニュートラルスチールを提供することにより、お客様のCO2削減にも貢献します。

当社は、他国に先駆けた超革新技術の開発・設備実装により、2030年に2013年対比30%のCO2排出削減、2050年のカーボンニュートラルを目指していきます。但し、カーボンニュートラルは鉄鋼業界のチャレンジだけでは実現できません。カーボンニュートラルに関わる研究開発や設備実装に加えて、安価な水素を豊富に供給できるインフラの確立、安価で安定的なカーボンフリー電源の実現等、カーボンニュートラルの実現に向けた社会全体での取り組みが必要不可欠です。また、これらの脱炭素化に向けた取り組みに伴う莫大なコストを社会全体で負担する仕組みも必要となります。今後、様々な困難・課題が想定されますが、グリーンイノベーション基金の活用等、政府とも連携しながら、カーボンニュートラルの実現に積極果敢に挑戦していきます。

また、持続可能な社会を構築しながら経済成長を進めていくという観点で、サーキュラーエコノミーへの対応は不可欠の課題です。鉄は分別が簡単にでき、リサイクルしても品質がほとんど低下せず、多様な製品に再生が可能な「何度でも何にでも生まれ変わる」素材であり、まさにサーキュラーエコノミーを体現している素材といえます。また、鉄の製造工程で発生する副産物の循環利用によるゼロエミッションの実現や、社会で発生する容器包装プラスチックの100%再資源化等にも積極的に取り組んでいます。更に、本年成立したプラスチック資源循環促進法を踏まえ、一般廃棄物系プラスチックも含め、処理量拡大を検討していきます。今後も更なる技術革新等を通じ、サーキュラーエコノミーの実現に貢献していきたいと考えています。

次に、地域生活環境の維持・向上に関しては、事故・トラブル防止をはじめとする環境リスクマネジメントが当社の事業存続上、安全・防災と並びすべてに優先される取り組みであると考えています。法令遵守はもとより、自治体の条例や基準への適合をはじめ、事業拠点ごとの実情を踏まえ、きめ細かな環境負荷軽減対策をハード・ソフトの両面から実施していきます。

更に、生物多様性保全に関しては、当社は長年にわたって、各製鉄所における「郷土ふるさとの森づくり」や、沿岸海域における藻場造成とCO2吸収を企図した「ブルーカーボン」活動等、自然保護と生産活動を調和させた取り組みを多方面に展開してきました。また、当社は「経団連生物多様性宣言・行動指針」に賛同し、これに基づいた当社としての取り組み方針に即して活動を進めています。将来に向けて、自然共生社会の構築への取り組みが地域・グローバル両面での課題であることを認識し、それらを事業活動に取り込んだ環境統合型経営を行うことを通じて持続可能な社会の実現を目指します。

社会への取り組み(Social)

当社は、「常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献する」という企業理念を掲げています。これはSDGsの考え方と完全に一致しているものと考えています。今後も当社は、事業活動そのものを通じて様々な社会課題の解決に貢献していく企業であり続けたいと考えています。

このレポートでは、当社が取り組んでいる、安全・防災・品質、人権の尊重、ダイバーシティ&インクルージョン、サプライチェーンマネジメント、地域・社会との共生等、様々なステークホルダーとの関わりや社会課題への対応について紹介しています。昨年に比べて、多様な価値観の尊重や人権問題に配慮した事業活動、ダイバーシティ&インクルージョンに関する取り組みについての紹介を充実させています。

引き続き、社会の発展に貢献するという当社の企業理念のもと、皆様からいつまでも信頼され続けるよう、企業の社会的責任を果たしていきます。

ガバナンスの強化(Governance)と企業の持続的成長に向けて

当社は、健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、当社グループの事業に適したコーポレートガバナンスの仕組みを整えています。昨年より監査等委員会設置会社に移行し、経営に関する意思決定の迅速化と取締役会の経営に対する監督機能の強化を図っています。

私どもは、これらESG課題への取り組みを企業の持続的成長を支える基盤と捉え、当社の企業理念や価値観、ステークホルダーの皆様からの要請、当社の成長戦略等を考慮の上、重点的に取り組むべきESGにおける重要課題(マテリアリティ)を特定しています。そして、その成果を評価する指標(KPI; Key Performance Indicator)に基づき、活動を推進・フォローすることで、より高いパフォーマンスを目指していきます。

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